参院選は「政権選択」、自民・木原誠二氏が語る戦略と物価高対策

7月20日に投開票が見込まれる参院選に向け、各党の準備が加速している。参院選は通常、政権与党に対する「中間テスト」としての意味合いが強いとされる。しかし、現在の衆議院では与党が過半数を割り込んでいるため、今回の参院選は事実上の「政権選択選挙」となる位置づけだ。もし敗北すれば政権崩壊や下野も現実味を帯びる中で、自民党は今回の参院選にどう臨むのか。自民党の木原誠二・選挙対策委員長が、この重要な選挙戦の戦略と争点について語った。

自民党選挙対策委員長 木原誠二氏、参院選への戦略と物価高対策を説明自民党選挙対策委員長 木原誠二氏、参院選への戦略と物価高対策を説明

参院選の位置づけ:中間テストか、政権選択か

木原氏は、衆議院で与党が過半数割れしている現状において、今回の参院選が極めて重要であることを強調する。現在、自民党・公明党が少数与党として政権を維持できているのは、参議院で過半数を確保しているからに他ならない。したがって、今回の参院選は一般的な「中間選挙」とは異なり、まさに「政権選択の選挙」だと言い切る。有権者は、引き続き自公政権が政権を担うべきか、それとも野党各党に委ねるべきか、この選挙で判断を下すことになる。

参院選の主要な争点

今回の参院選における主要な争点は大きく二つあると木原氏は指摘する。第一に、これまでの自公政権に対する評価である。過去3年間で日本のGDPは540兆円から610兆円へと増加し、国内投資や国民への賃金支払額も大きく伸びている実績を挙げる。これらの経済指標が示すように、日本経済の体質は明らかに改善しており、新たな成長軌道に乗っているとして、これを実績として有権者に評価を問いたい考えだ。

第二の争点は、喫緊の課題である物価高への対策である。経済が上向きつつあるとはいえ、物価高を乗り越えられない限り、消費は盛り上がらず、これ以上の持続的な成長は見込めない。物価高に対してどのように効果的な対策を講じていくかが、二つ目の主要な争点となる。

自民党の物価高対策と消費税減税への見解

物価高対策を巡っては、立憲民主党が食品への消費税を原則1年間ゼロ%とする案などを掲げ、他の野党も消費税減税を訴えている。これに対し、自民党内では給付金による対策が議論の中心となっている。

木原氏は、物価高対策は給付や減税といった単一の手段だけではなく、よりしっかりとしたパッケージで行うべきだと主張する。政府はすでに、先行きの対策も含めて様々な措置を実施している点を強調。具体例として、ガソリン価格に対する補助金投入により、価格が160円台に向けて下がってきていること、電力料金への補助を7月から実施することなどを挙げた。さらに、コメ価格の高騰に対しては、新たに農林水産大臣に就任した小泉進次郎氏が、備蓄米の随意契約による放出を決定し、熱くなりすぎた市場を冷やしている最中であると説明した。

一方、消費税の減税については、国際市場の不安定さを背景に、金利上昇を招くリスクがあるため難しいとの見解を示した。また、物価高対策としての即効性に乏しいことに加え、消費税率の変更に伴う会計システムや税務システムの変更に相当な期間が必要となる実務的な問題も指摘した。これに対し、給付金による対策は、物価高に対する意味のある対策となり得るとの見方を示した。

結論

自民党の木原誠二選対委員長は、今回の参院選が衆議院での与党過半数割れという特殊な状況下で行われるため、単なる中間評価ではなく、文字通りの「政権選択選挙」であると位置づけた。主要な争点として、これまでの自公政権が実現した経済成長の実績と、物価高に対する実効性のある対策を挙げ、有権者にこれらの点に基づいた判断を求めている。特に物価高対策においては、単なる減税や給付にとどまらない総合的なパッケージでの対応を強調し、消費税減税には慎重な姿勢を示しつつ、給付による対策の有効性に言及した。自民党は、経済実績と多角的な物価高対策を軸に、この重要な選挙戦を戦う構えだ。