東京都議選「再生の道」候補者全員落選 石丸伸二氏「惨敗」の背景と今後

22日に投開票が行われた東京都議会議員選挙において、昨年夏の都知事選で注目を集めた石丸伸二氏が率いる地域政党「再生の道」は、擁立した候補者42人全員が落選するという厳しい結果に終わった。選挙戦を振り返ると、告示日の13日、石丸氏が最初にマイクを握った「第一声」の場には、予想をはるかに下回る数の聴衆しか集まらなかった。この選挙戦開始当初の様子に、その後の「惨敗」を予兆させるものがあったのかもしれない。

敗色濃厚となった22日夜の記者会見で、石丸氏は今回の都議選について「都知事選はやっているうちに、どんどんボルテージが上がっていった。それに比べると今回は最初からテンションが高かった」と振り返った。しかし、告示日の第一声の場は、彼が語る「高いテンション」とはかけ離れた、静けさに包まれたものだった。

石丸氏が第一声の場所として選んだのは、東京都千代田区のオフィス街だった。この場所を選んだ理由については、「かつて勤めた銀行の本店が近いこと」を挙げたが、平日の午前中という時間帯も相まって、人通りはまばらだった。演説を聞きに集まった支持者とみられる人々も30~40人程度に過ぎず、集まった聴衆よりも報道陣の方が明らかに多かった。近くには昼食のためにキッチンカーに並ぶ人々の列が見られ、そちらの方が目立っていたほどだ。

マイクを握った石丸氏は、聴衆が少ない状況を前にしてか、矛先を報道陣に向けた。「今日はまたどうしたんですか、マスメディアのみなさん。急に元気を出して」と皮肉を込めて問いかけ、「やる気を出せと上司から言われたんですか」などと畳みかけるように述べる場面も見られた。

2024年東京都議選の告示日、大手町での第一声に臨む石丸伸二氏とまばらな聴衆2024年東京都議選の告示日、大手町での第一声に臨む石丸伸二氏とまばらな聴衆

昨年7月の都知事選では、石丸氏自身が出馬し、各地で連日数多くの聴衆を集め「石丸旋風」とも呼ばれる現象を巻き起こした。今回の都議選後の記者会見で、彼は都知事選との感触の違いについて問われた際、「都知事選は自分の声を伝えた。今回は裏方(に回った)。立ち位置が違うので比較が難しい」と述べ、直接的な比較を避ける姿勢を見せた。一方で、候補者の当選が難しい情勢に対する感想を問われると、「そうなんですねという感想です」と淡々と答えた。しかし、重ねて質問を受けると「そんなところに党の代表としてこだわっていない」と述べるなど、やや強弁する場面も見られた。結果として、擁立した42人全員が議席を獲得できなかったという現実は厳しく突きつけられた形だ。

「再生の道」は、今年7月に見込まれる参議院選挙にも候補者を擁立する予定があるという。「都議選は参院選の前哨戦とは捉えていない」と石丸氏は述べているものの、今回の都議選で一つも議席を獲得できなかった事実は重く、党の再生への道のりは険しいものになると言えるだろう。

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