立花孝志氏逮捕の背景と今後の行方:「NHK党」党首を巡る3つの“誤算”と再逮捕の可能性

政治団体「NHKから国民を守る党(NHK党)」党首の立花孝志容疑者(58)が11月9日、名誉毀損容疑で兵庫県警に逮捕され、翌10日には送検されました。この逮捕は、昨年12月に元県議の竹内英明氏(当時50)に関する虚偽情報をSNSに投稿し、竹内氏の名誉を傷つけた疑いによるものです。7年半にわたりNHK党の活動を追ってきた「選挙ウォッチャーちだい」氏の分析を基に、立花氏が逮捕に至った背景と今後の展開について深く掘り下げます。

名誉毀損容疑と立花氏の主張:刑事告訴から逮捕までの経緯

立花孝志容疑者の逮捕容疑は、斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ疑惑を調査していた竹内英明元県議に対し、昨年12月に「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」と発言したこと、また竹内氏が自死した直後の今年1月に「どうも明日逮捕される予定だったそうです」といった虚偽情報をSNSで発信し、名誉を傷つけた点にあります。この件に対し、竹内氏の妻は今年6月に名誉毀損容疑で立花氏を刑事告訴していました。

送検される立花孝志容疑者送検される立花孝志容疑者

立花容疑者は刑事告訴された際の会見で、「訴えていただいたことで、白黒はっきりつくので感謝している。名誉毀損したことは争わないが、十分違法性が阻却されるだけの根拠をもって発言している」と強気の姿勢を示しました。ちだい氏の観察によると、立花氏は「人から聞いた話を正しいと思って発言したのであり、真実相当性がある」として、自身の発言には違法性を阻却する根拠があるという主張を一貫して展開してきたといいます。しかし、その裏では起訴される覚悟もしていたとちだい氏は見ています。立花氏は以前から兵庫県警の任意聴取に応じていたことを公表しており、当初は和気あいあいとした雰囲気を強調していましたが、次第に「起訴してくださいと伝えた」と発言するようになり、自身の予防線を張っていた可能性が指摘されています。

逮捕を巡る立花氏の「3つの誤算」とは

ちだい氏は、立花容疑者が逮捕されて身柄を拘束されることまでは予想していなかったと分析しています。その背景には、立花氏の発言から読み取れる3つの「誤算」があったと指摘しています。一つ目は、NHK党の齊藤健一郎参院議員が自民党会派に加わったことで、自民党という強力な後ろ盾を得たNHK党に対して、警察は手が出しにくいと考えていた点です。立花氏が政治活動を行う上で、与党との連携が一定の「守り」になると期待していた可能性があります。

二つ目の誤算は、静岡県伊東市長選への立候補を表明したことで、政治活動の自由を制限する逮捕のハードルが上がると予想していたことです。選挙期間中の政治家に対する逮捕は慎重に行われることが多く、立花氏はこの慣例が自身にも適用されると考えていたのかもしれません。三つ目は、家宅捜索なしに突然逮捕されることはないという根強い思い込みがあったことです。一般的に、重大な事件では逮捕前に家宅捜索が行われることが多いため、それを経ずに逮捕されることはないと信じていた節があります。

しかし、報道によると兵庫県警幹部は立花容疑者逮捕の理由について、「政治活動に関しては最大限尊重されるべきだと認識している。その上で具体的に逃亡、罪証隠滅の恐れがあると判断した」と述べており、立花氏の期待とは異なる判断が下されたことが明らかになっています。ちだい氏は、これらの立花氏の「誤算」を「どれも妄想といえるレベル」と厳しく評価しています。

今後の展開:再逮捕と実刑判決の可能性

ちだい氏は、今回の逮捕が立花氏にとって始まりに過ぎない可能性を指摘し、今後「再逮捕」がある可能性も示唆しています。立花氏はこれまで、今回の名誉毀損容疑以外にも、逮捕監禁致傷、約3億5000万円の業務上横領など、さまざまな罪状で刑事告訴されてきました。警察としては、国民からの理解が得られやすい竹内氏の件を「ファーストパンチ」として逮捕・勾留に踏み切った可能性が十分に考えられます。

立花氏は2023年に、NHK契約者の個人情報を不正に入手してインターネットに投稿した罪などで懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けています。今回の名誉毀損で実刑判決が下され、さらに再逮捕となる可能性のある他の容疑についても裁判で認められれば、しばらく刑務所から出られない可能性も十分にあり得ると、ちだい氏はその厳しい見通しを語っています。今後、一連の事件の法廷での行方と、それが立花氏の政治活動にどのような影響を与えるのかが注目されます。