6月22日に投票が行われた東京都議会議員選挙は、都民ファーストの会が第一党を維持し、過去最低の議席数に終わった自民党の苦戦が注目されました。しかし、今回の選挙で「重大な危機」に直面しているのは、もう一つの政党かもしれません。それは、36年ぶりに落選者を出した公明党です。過去8回連続で全員当選を果たしてきた公明党にとって、今回の結果は想像以上の衝撃を与えています。
8回連続全員当選の神話崩壊
公明党はこれまで都議選で驚異的な勝率を誇ってきましたが、今回は擁立候補者22人のうち3人が落選するという結果になりました。党としては「勝率100%」を維持するため、現有議席より1人少ない候補者に絞って「9回連続の全員当選」を目指していただけに、今回の落選は党幹部や支持母体である創価学会にとって非常に大きな打撃となりました。
特に議席を失った選挙区が、新宿区と大田区であったことの象徴的な意味合いは大きいと指摘されています。ある創価学会員は、「新宿区は創価学会本部の所在地であり、大田区は故・池田大作名誉会長の生誕の地です。学会にとって特別な意味を持つこれらの重要な選挙区で敗れたことは、『惜敗』の一言では片付けられない問題だと感じています」と語っています。投票翌日の聖教新聞や公明新聞には「激戦突破相次ぐ」「当選相次ぐ」といった見出しが躍りましたが、最近の公明党にとって厳しい選挙結果が続く中で、こうした紙面の論調は常態化しているとも言われています。
公明党にとって都議選が特別である理由
公明党や創価学会にとって、都議会議員選挙は他の地方選挙とは一線を画す特別な重要性を持っています。公明党は「大衆とともに」を掲げ、地域の声を吸い上げる地方議会での議席確保を最も重要な活動の一つとしています。その中でも、都議会は日本の地方議会の中心であるだけでなく、創価学会が本部を置く「お膝元」であり、党のアイデンティティに関わる場所だからです。
公明党の前身である公明政治連盟が1960年代に都議会で躍進し、1964年の公明党結成へと繋がったという歴史的経緯も、都議選が特別視される背景にあります。また、今回の都議選に向けても、学会員による非会員への支持拡大活動である「F取り(フレンド票獲得)」が全国的に激しく展開されました。昨年の衆院選後には「次は都議選と参院選だ!」と、各地区や支部に早期に号令がかかり、地方の会合が東京で行われるなど、地方選挙としては異例の態勢が敷かれました。学会員にとっては大きな負担を伴う選挙戦だったのです。
公明党の山口那津男元代表
今後の公明党・創価学会に与える影響
今回の都議選における公明党の落選は、単なる議席減以上の意味を持っています。創価学会本部所在地や池田名誉会長生誕地といった特別な選挙区での敗北、そして擁立候補者を絞った中での目標未達は、党と支持母体である創価学会の組織力や動員力に対する懸念を生じさせる可能性があります。長年の「全員当選」神話が崩れたことは、党員・学会員の士気に影響を与えかねません。今回の「重大な危機」を、公明党と創価学会がどのように分析し、来たる参院選などの国政選挙や今後の地方選挙に向けて体制を立て直していくのか、その動向が注目されています。
出典:
https://news.yahoo.co.jp/articles/1c17fd7b363a14ebfa32215d4cec3d375d204f73