6月22日に行われた東京都議会議員選挙では、都民ファーストの会が第一党に返り咲き、自民党が過去最低議席を更新するという驚きの結果となりました。こうした中で、これまで都議会に議席を持っていなかった国民民主党が9議席、そして参政党が3議席を獲得したことも大きな注目を集めました。しかし、その選挙結果を伝える主要な地上波の選挙特別番組で、ある出来事が波紋を呼んでいます。
今回の都議選は地方選挙であるため、主要地上波で選挙特番を組んだのはNHK(『東京都議会議員選挙開票速報 2025』)のみでした。選挙特番では主要政党の幹部を招き、独自インタビューを行うのが通例ですが、NHKの参政党への対応が物議を醸すことになったのです。
NHK開票特番での参政党「録画」出演
3議席を獲得し、都議会への初の議席を得た参政党の神谷宗幣代表について、NHKは生インタビューではなく、録画された映像を放送しました。録画された映像では、神谷代表が記者会見と思われる状況で「知名度がない政党なので、とにかく認知を上げていこうということで本部の方で色々と企画をしてですね……」と話す様子が流れましたが、質問内容が不明瞭で、途中で映像が終わる中途半端な形でした。
注目されたものの議席獲得に至らなかった「再生の道」代表の石丸伸二氏や、「れいわ新選組」共同代表の櫛渕万里氏にはそれぞれ生インタビューが行われていたことを踏まえると、参政党への対応は異例と言えます。
NHKの東京都議会議員選挙開票速報で録画出演となった参政党代表の神谷宗幣氏
神谷代表のX投稿と広がる波紋
NHKが録画映像を放送した直後、参政党の神谷代表は自身のX(旧Twitter)アカウントで疑問を呈する投稿をしました。
《おかしいなあ。私、開票センターにいるのに、なぜ録画を流す? インタビューできますけど? 初議席獲得だから普通インタビューしませんか? おーい》
この投稿により、NHKが意図的に参政党を「排除」あるいは差別的に扱っているのではないかという疑惑が深まりました。
NHKの対応への疑問の声
神谷代表の投稿やNHKの放送内容に対し、SNSなどでは多くの視聴者から疑問の声が上がりました。《NHKにとっては都合の悪い政党なの?》《国政政党でもあるのだから、公平な扱いをお願いします》《神谷さんのコメントが半ばでブチッと切られていた…》といった意見が相次ぎ、NHKの選挙報道の公平性に対する懸念が示されました。
公平性への懸念と専門家の見解
全国紙の記者は、今回のNHKの対応について次のように述べています。「昨日の放送でNHKと参政党の間にどのようなやり取りがあったかは分かりませんし、参政党の政策に賛否両論があるのかもしれません。しかし、選挙報道においては、議席を獲得した政党は可能な限り同じ条件で取り扱うことが原則です。3議席を獲得した参政党に生インタビューが行われなかったというのは、首を傾げる対応と言わざるを得ません。」
NHKの「警戒」背景か?排外主義への懸念
NHKの選挙特番では、参政党について「選挙戦中盤以降で政党名での検索数が多い」として注目度が高いことは報じました。しかし、同時に同党が掲げる「日本人ファースト」というキャッチフレーズに対して、「外国人は後回しにする排外主義だ」「差別や排除が広がる懸念がある」といった批判的な声もしっかりと取り上げていました。このことから、NHKが参政党に対してある種の「警戒」を抱いている可能性が伺えます。特に、編集の利かない生インタビューで、外国人に関連する過激な発言が飛び出すことを懸念していたのかもしれません。
今回の東京都議会議員選挙は、7月に予定されている参議院選挙の前哨戦とも位置づけられています。参議院選挙本番の報道において、NHKが参政党をどのように扱うのか、今後の動向が注目されます。