緊迫する中東情勢の中、アメリカはイランの核施設に対する大規模な攻撃を実行しました。この攻撃には、強力な地下貫通爆弾であるGBU-57、通称「バンカーバスター」が初めて実戦投入されたとされ、その成果について様々な見方が交錯しています。
イスラエルでも攻撃発生、建物が完全に倒壊
一方、22日にはイスラエル・テルアビブ近郊でも攻撃が発生し、イランから発射されたとみられるミサイルが着弾した場所では、建物が完全に倒壊し、周囲にがれきが散乱するほどの甚大な被害が出ました。
イスラエル・テルアビブ近郊でイランのミサイル攻撃を受け完全に倒壊した建物
米国防長官は「圧倒的な成功」を主張、GBU-57を14発使用
アメリカのヘグセス国防長官は、今回のイラン国内3カ所の核施設への攻撃について記者会見を開き、「素晴らしく圧倒的な成功であり、イランの核開発計画を壊滅させた」と述べ、その成果を力強く主張しました。「ミッドナイトハンマー」(真夜中の鉄つい)と名付けられたこの作戦では、B2戦略爆撃機7機が投入され、特に注目すべきは、地下貫通爆弾である最大級の「バンカーバスター」、「GBU-57」14発が実戦で初めて使用されたことです。
これに対し、攻撃を受けたイランのアラグチ外相は、会見で「平和利用目的の施設に対するアメリカ軍の残忍な行動を最も強い言葉で非難する」と強く反発しました。
成果に食い違いも、ニューヨークタイムズ報道と副大統領の見解
しかし、作戦の実際の成果については異なる見方も出ています。ニューヨークタイムズ紙は、米イスラエル当局者の見解として、特にテヘラン近郊の地下深くにあるフォルドゥ核施設について、「完全な破壊には至らなかった」と報じました。また、バンス副大統領もテレビ番組で「核施設の完全な破壊を確信しているか?」と問われた際、「イランの核兵器開発を大幅に遅らせた」と述べるにとどまり、断定的な表現を避けました。
地下貫通爆弾「バンカーバスター」とは
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、「バンカーバスター」について詳しく解説しています。「バンカーバスターとは、地中に深く潜り込み、地下深くに位置する目標を攻撃するための爆弾の総称です。一般的には2トン程度のものが多いのですが、今回のGBU-57は13トンもの重量があり、まさに桁違いです。この圧倒的な重さと落下速度によって、より深い地中への到達が可能となります。」
米軍がイラン核施設攻撃に実戦初投入した最大級バンカーバスター「GBU-57」
黒井氏は、トランプ大統領らが「破壊した」と強調するイランの核施設、特にフォルドゥの地下施設について、その実際の被害状況は慎重に分析する必要があるとしています。「GBU-57を12発投下すれば、地上部分は間違いなく相当な破壊を受けているでしょう。しかし、イラン軍はもともと空爆に耐えるよう、強化コンクリートなどで相当な補強を施している可能性が高い。フォルドゥ施設は地下80メートルから90メートルとも言われており、破壊の程度や実際のダメージは、詳細な調査なしには断定できません。」
今回の記事は「イット!」6月23日放送の内容に基づいています。
今回の記事は「イット!」6月23日放送の内容に基づいています。
まとめ
今回のアメリカによるイラン核施設へのGBU-57バンカーバスター攻撃は、中東情勢の緊迫を一層高める出来事となりました。米側は「圧倒的な成功」を主張する一方、施設が完全に破壊されたかについては懐疑的な見方もあり、実際の成果はまだ不透明です。この攻撃が今後のイランの核開発や地域情勢にどのような影響を与えるか、注視が必要です。
参照
- イット!(6月23日放送)
- FNNプライムオンライン / Yahoo!ニュース(参照元記事)