「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか? 累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から、「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。
ストレスを生む「呼び水型」の会話
助けが必要そうな雰囲気をつくる、いわゆる「呼び水型」の人との会話は何かとストレスが溜まるものです。ここでは二つの事例で解説していきます。
事例1:転職相談におけるBさんのモヤモヤ
まず一つ目は転職相談を受けるBさんのお話。Bさんが前職時代の同期と久しぶりに会って、思い出話に花を咲かせていたところ、ふと相手が「最近つまらなくて転職しようと思ってるんだよね」と暗い表情で口にしました。
そのとき、Bさんの脳内には「本気で転職を考えてるのだろうか?」「アドバイスが欲しいのか?」「単に愚痴を聞いて欲しいだけか?」といくつもの選択肢が発生。結局「そうか、たいへんだなぁ」と言うだけだったBさん。それでよかったのかどうか今も不明で、スッキリしない思いが残っているそうです。干渉しなかったらしなかったで、モヤモヤしているBさん。
事例2:失恋の愚痴を聞き続けるCさんの苛立ち
対して次に紹介するCさんは、干渉した後もモヤモヤしています。Cさんの友人は、10年前に別れた恋人のことを忘れられず、ことあるごとに情感たっぷりな思い出話や泣き言を聞かせてきます。ある日、Cさんは耐えかねて「いっそ、連絡取ったら?」と提案。友人からは「怖い」「なんで今日はそんなに追い詰めるの」と反発が。さすがに厳し過ぎたか、と後悔したCさん。その後は気をつけて聞き役に徹していますが、相も変わらずの嘆き節に、苛立ちが募るばかりです。
人間関係の悩み:干渉され、はけ口にされている状況で苦悩する女性たち
「はけ口」にされる関係の根本的な見直し
あなたにも似たような経験はありませんか?この二つのケースでは、Bさんのほうが解決しやすいと言えます。なぜなら相手の悩みごとが、「転職するか否か」という、比較的短期間で答えの出ることだからです。
Bさんのケース:役割を確認し、お互いスッキリ
Bさんがその場で「僕のアドバイスはいる? 聞いて欲しいだけだったら、それもOKだよ」と役割を確認していたら、お互いスッキリできたでしょう。次に会ったときに、ぜひ実行していただきたいところです。
Cさんのケース:長期的な「愚痴聞き役」からの脱却
しかしCさんの場合は、少々考えなくてはなりません。相手の悩みごと、もとい「泣き言」は、永遠にでも続けられる類いのものです。Cさんは、そんな相手と、どんな関係をつくりたいのかを考える必要があります。このまま永遠に愚痴の聞き役でいたいか、それとも変化させたいか。関係を変化させたいなら、それを言葉にして伝えましょう。「私ね、あなたとは楽しい話もたくさんしたいと思ってるのよ。どう思う?」と。
人間関係の「不都合な真実」と健全な境界線
もう一つ、考えてみたいポイントがあります。10年間も愚痴の聞き役になっているような関係、すなわち相手の「はけ口」にされている関係は、はたして必要でしょうか?そう、相手はCさんをはけ口として利用している可能性があるのです。「Cさんは時々怒るけど、すぐ『反省』して話を聞いてくれる人」なんて見なされているなら、それはもはや友達とはいえないのかもしれません。
そんな不都合な真実に向き合う瞬間は人生の中でときおり訪れます。ほとんどのケースでは干渉する側が上位のポジションを取りますが、たまに、干渉される側が「弱いアピール」をすることで、相手を利用することがあります。その可能性も含めて、今後の関係性をどうするかを考えましょう。
結論:人間関係における「いい距離感」の重要性
人間関係における「いい距離感」は、自己防衛と健全なコミュニケーションのために不可欠です。もし自分が「干渉される側」や「はけ口にされる側」と感じたら、まず相手の意図を確認し、必要であれば自分の求める関係性を伝えましょう。相手が自分を「はけ口」として利用していないか、この関係が本当に必要かを見つめ直す勇気が大切です。互いを尊重し、心地よい関係性を築くための一歩を、今こそ踏み出してみませんか。
参考文献
林健太郎 著『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』(ダイヤモンド社)
※本記事は上記書籍から一部抜粋・編集して作成しています。