22日投開票の東京都議選で、公明党は大田区で維持していた2議席をともに失った。大田区は党の支持母体である創価学会の池田大作名誉会長(令和5年死去)の生地であり、学会の強力な地盤だ。学会や党の本部があり、党の元最高顧問、藤井富雄氏の地元だった新宿区でも落選し、支持者の衝撃は大きい。この結果は、長年党を支えてきた基盤における重要な変化を示している。
大田区の歴史的背景と公明党の過去の強さ
大田区は、創価学会にとって特別な意味を持つ地域である。池田大作氏は昭和3年、現在の大田区大森地区でノリ製造業を営む家に生まれた。学会に入信後、昭和27年2月には当時の戸田城聖会長の下で、蒲田支部の支部幹事として201世帯の弘教を達成。これは学会内部で「2月闘争」として語り継がれている歴史的な出来事だ。このため大田区は創価学会の活動が極めて盛んな地域であり、公明党は都議選において常に2人擁立を続けてきた。現職1人死去による一時的な中断を経て、平成17年からは20年間にわたり2議席を維持してきた実績がある。また、大田区を含む衆院旧東京2区では、鈴切康雄氏が8回連続で当選するなど、強固な支持基盤を誇っていた。今回の議席喪失は、この盤石と思われた地盤が揺らいでいる現実を突きつけた形だ。
東京都議選の結果を受け、会場に入る公明党の斉藤鉄夫代表(22日午後、東京都新宿区)
支持者の声と敗因分析
今回の都議選における大田区での議席喪失は、創価学会員の間で大きな波紋を広げている。「大田区は池田先生が作った組織なのに申し訳ない」といった、落選への深い反省や無念の思いを示す声が上がっているという。10年以上の活動歴を持つ創価学会員は、「現職の代表だった太田昭宏氏ら8選挙区で全敗した平成21年衆院選以来の衝撃が走っている」と語り、今回の敗北が過去の大きな挫折に匹敵するものであることを示唆している。敗因については、「終盤に北多摩3選挙区(調布市、狛江市)が危ないという情報が流れ、そこに力を集中したが、大田区と新宿区を落としたのは最終調整が甘かった」との分析が出ている。限られた組織力や選挙運動資源の中で、どこに重点を置くかという戦略的な判断が、結果に大きく影響した可能性が指摘されている。
結論
今回の東京都議選における公明党の大田区・新宿区での議席喪失は、創価学会という強力な支持基盤を持つ党にとって、極めて大きな打撃となった。特に創価学会の「聖地」ともいえる大田区での2議席喪失は、党と支持母体双方に深い衝撃と動揺を与えている。過去の成功体験に基づく選挙戦略や組織運営について、厳しい見直しが迫られる結果と言えるだろう。