茨城県の常総、守谷、つくばみらい、取手の4市のごみを処理する常総環境センター(守谷市)の不燃ごみ処理設備が2024年12月の火災で焼損し、不燃ごみが処理できなくなっている。運営する常総地方広域市町村圏事務組合は24日、不燃ごみにリチウムイオン電池が混入したことが原因と推定し、復旧に少なくとも110億円超かかる試算を4市の合同議会に示した。
モバイルバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池は、破砕されると発火しやすい特徴がある。このため、全国のごみ収集の現場で火災が相次いでいる。
同センターの火災は、不燃ごみを資源化する前の分別、破砕などの工程でごみから出火。周りのごみに燃え移り、作業員1人が軽傷だった。火災で設備全体が使えなくなり、4市は不燃ごみを千葉県成田市と栃木県壬生町に搬出し、民間の一般廃棄物処理事業者に処理を委託している。
組合は、①設備を原状復旧②仮復旧し不燃ごみの一部を外部委託③復旧せずすべて外部委託――の3ケースで費用を試算。①が最も安いが、火災保険が下りても負担額は約111億円に上る。復旧工事は27年8月末までかかり、その間、外部委託が続く見通し。
組合によると、この火災を含め、同センターでごみ由来の火災が24年度に12回発生。いずれもリチウムイオン電池などの危険物が混入したとしている。
守谷市の松丸修久市長は取材に「一部の心ない人の行為がこれほどの被害を起こす。分別を徹底するよう市民に呼びかけていくしかない」と肩を落とした。【酒造唯】