少子化対策、なぜ進まない?「未婚化」問題と国際結婚の変化

日本の少子化問題の主因は「未婚化」にある――筆者は2017年以来、統計的エビデンスを基にこう解説してきた。しかし、現状では「子育て支援」を中心とした対策が主流であり、これは昭和・平成の「総婚」時代からの発想から抜け出せていない。残念ながら、半世紀あまり初婚同士の夫婦がもつ子どもの数がほぼ変わらない以上、これ以上、同じことを繰り返しても統計的に見て有意性が上昇する可能性は極めて低い。

少子化対策の壁:「未婚」でなければ出生はゼロ

筆者が自身の講演においていつも強調しているのは、「カップル成立なくして出生なし」という真理だ。未婚であれば、どんなに子育て支援が手厚くても出生数はゼロである。0に何をかけても0であるというこの意見に対して、いまだにどうしても身に染みて感じられない人々が少なくないことこそが、少子化問題解決を阻む大きな壁となっている。これこそが高齢化社会がもたらす価値観がつくりだす弊害とも言えるだろう。

日本の街並みと人々。少子化、未婚化が進む社会の様子。日本の街並みと人々。少子化、未婚化が進む社会の様子。

結婚意欲は高いが理想像は変化:国際結婚に見る新しい動き

未婚率の上昇にも関わらず、日本の若者の結婚意欲はおよそ30年前の国の調査と比べても極めて高水準である。「推し活」ブームでも知られるように、日本人は一途に誰かを好きになる力については、かなり高めのようだ。しかし、いかんせん、好きになったその先に目指す二人の姿、理想とするカップル像が親子間であまりにも大きく変化しており、親子間の価値観に大きなギャップが生じている。一言でいうなら、プロポーズの形が「僕についてきてくれますか」から「ともに支え合ってくれますか」に、男女ともに理想形が変化しているのだ。このような膠着した状況の中、長く続いていた国際結婚市場にも目立つ変化が生まれてきている。

都道府県別 国際結婚割合の変化:沖縄が愛知を上回る

日本の国際結婚市場にも目立つ変化が生まれている。次の図表1(2023年)と図表2(2019年)は、都道府県別の国際結婚割合を示している。新型コロナ感染症の拡大前となる2019年(図表2)では、長く続いていた1位から3位のランキングを継承し、愛知県、東京都、岐阜県の順となっていた。愛知県や岐阜県はトヨタのおひざ元で、関連する下請け企業も製造工場も多く、特に工場の生産ラインで働く外国人女性労働者が多く雇用されてきており、日本人男性と結婚する「外国人妻」も多い傾向となっていた。しかし、2023年のデータ(図表1)では、沖縄県が7.03%でトップとなり、愛知県を上回る結果となった。これは、単なる順位変動以上の、日本における結婚、特に国際結婚のあり方の変化を示唆している可能性がある。

まとめ:未婚化への対応こそ少子化克服の鍵

統計データが示すように、日本の少子化の根源は「未婚化」にあり、夫婦の出生数に焦点を当てるだけでは不十分である。「カップル成立」という最も基本的な課題に向き合わない限り、効果的な対策は難しい。今回紹介した国際結婚割合の変化は、日本の結婚市場が完全に停滞しているわけではなく、新しい動きが生まれていることを示唆している。これらの変化を理解し、結婚を巡る現代の価値観や課題に対応していくことこそが、少子化問題克服に向けた重要な一歩となるだろう。

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