昨年9月に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説『虎に翼』が、放送終了から9カ月が経過してもなお快進撃を続けている。ラストシーンで法服姿の寅子がほほ笑んだ姿は多くの視聴者の心に残った。そして、その主人公・寅子を演じた伊藤沙莉さんへの高い評価も止まらない。
『虎に翼』と伊藤沙莉に相次ぐ栄誉
『虎に翼』および主演の伊藤沙莉さん（31）は、相次いで権威ある賞を受賞している。5月10日には「第33回橋田賞」を受賞し、授賞式が行われた。伊藤さんの受賞理由は「激動の時代を歩んだ女性法曹の姿を鮮やかに体現し、主人公の強さと葛藤を繊細に演じた」ことなどが挙げられた。
さらに、6月2日には「第62回ギャラクシー賞」のテレビ部門大賞を『虎に翼』が受賞。これは番組の質の高さを証明する大きな栄誉である。そのわずか4日後の6日には「第51回放送文化基金賞」が発表され、ドラマ部門の最優秀賞に『虎に翼』が選ばれた。加えて、伊藤沙莉さんは演技賞を受賞した。これらの受賞ラッシュは、作品と主演俳優に対する極めて高い評価を示している。
連続テレビ小説『虎に翼』最終回、法服姿でほほ笑む主人公・寅子を演じる伊藤沙莉
プロデューサーが示唆、関係者が明かす計画
ギャラクシー賞の贈賞式において、『虎に翼』の“今後”について話題が及んだ際、制作統括の尾崎裕和氏は「こんなことできたら、あんなことできたらな、みたいなのをすごく話したりはしているんですけど、私がプロデューサーなので責任を持って整えて頑張れたらいいなと思っています」とコメント。これは作品の継続的な展開への意欲をうかがわせる発言だった。
そして、こうした作品や伊藤さんの演技への高評価という追い風を受け、NHK内部では『虎に翼』の新たな展開として、映画化の計画が具体的に進行しているという。複数のNHK関係者がこの計画について明かしている。
映画化とスピンオフドラマの具体的なタイムライン
NHK関係者によると、映画版『虎に翼』は来年年明けからの撮影開始を目指しており、来年年末の公開を目標としているとのことだ。さらに、映画版に先行する形でスピンオフドラマの制作も同時に進行しているという。こちらは今年の秋から撮影が始まり、来年の放送を検討しているスケジュールだという。
朝ドラ映画化は極めて稀なケース
連続テレビ小説の映画化は、NHKの歴史上を見ても極めて珍しい事例である。これまでに映画化されたのは『おはなはん』『藍より青く』などわずか3作にとどまっている。もし『虎に翼』の映画化が実現すれば、2000年の『すずらん』の映画公開以来、実に26年ぶりの快挙となる。
前出のNHK関係者は、「『すずらん』の映画版はヒロインの少女時代を描き、主演も子役が務めましたが、『虎に翼』は映画版も伊藤沙莉さんが主演です」と語る。過去の朝ドラでも『カーネーション』『あまちゃん』などが放送文化基金賞の優秀賞を受賞しているが、最優秀賞は『虎に翼』が初めてのこと。NHKにとってこれは歴史的な快挙であり、その中心にいる伊藤さんは今や「朝ドラ史上最高のヒロイン」と見なされているという。
映画化を成功させるため、主要キャストの多くに既に出演オファーが出されており、さらに主題歌についても、ドラマに引き続き米津玄師さんに依頼する方向で調整が進められていると聞かれる。
評価の高さが後押し
今回の異例とも言える映画化・スピンオフ計画の背景には、単にヒロインの演技力だけでなく、作品そのものに対する批評家や視聴者からの圧倒的な評価の高さがある。法曹界を舞台に、女性が道を切り開いていく姿を描いた物語が、現代にも通じるメッセージを持ち、多くの共感を呼んだ結果と言えるだろう。
【出典】
Yahoo!ニュース / 女性自身
