日本社会の現状に「遅れている!海外ではありえない!」と指摘する声がある一方で、世界の他の国々も同様に「衝撃」「笑える」「トホホ」といった出来事が日常茶飯事だ。特に皇室関連のニュースは何かと注目を浴びるが、不倫、離婚、内紛が日常茶飯事であるイギリスのロイヤルファミリーに比べれば、日本の皇室は比較的穏やかと言えるだろう。しかし、日本の皇室には非常にイギリス的な側面が見られる。開国以降、日本は大英帝国から多方面で影響を受けてきたが、その影響は今も続いている。現在の天皇陛下と雅子さまは、イギリスの名門であるオックスフォード大学で学ばれており、陛下はテムズ川の水運史をご研究されていた。英国の王族や上流階級は、営利を目的としない学術研究や社会貢献を重んじる規範を持っており、日本の皇室がこうしたイギリスの価値観や社会規範を理解し、それに沿った行動を取っていることに、イギリスの人々は好感を持っているという。
英国からの高い評価とその理由
イギリスから見て日本の皇室が「素晴らしい」と映る背景には、第2次世界大戦で敵対関係にあったことや、宗主国と植民地という関係性ではなかったにも関わらず、イギリスの伝統や規律を模範とし続けていることがある。これは、同じくイギリスと戦火を交えたドイツやフランスでは考えられないことだ。これらの国の上流階級がオックスフォード大学やケンブリッジ大学に留学することは稀であり、イギリスの上流階級が行うポロやクリケットといったスポーツを積極的に行うこともないだろう。
元敵国・非植民地なのに…独特な関係性
ところが、日本の皇室は異なる。さらに言えば、敗戦によってアメリカの同盟国となった日本において、皇室だけは大英帝国のスタイルを維持し続けていると言えるかもしれない。上皇さまと上皇后さまは、イギリスの上流階級に好まれるスポーツであるテニスを好まれ、さらに出会いのきっかけは軽井沢のテニスコートだった。軽井沢という場所は、イギリス人宣教師や英国公使館関係者らを中心に避暑地として発展した歴史を持つ場所だ。こうしたイギリス色の強い物事を重用されることは、Xで人気の谷本真由美氏(めいろま)の私見によれば、アメリカを拒否する強い反骨精神の表れとも解釈できるという。
言語、服装、自転車…細部に宿る英国スタイル
また、上皇后さまの英語は、その発音や表現において古典的な宮中英語の特徴が見られ、イギリスの識者たちを唸らせている。加えて、皇室の方々は山登りを好まれるが、その際に着用される服装は、チェックのシャツにスラックスといったスタイルが多い。このスタイルは、イギリスの上流階級が好むパターンである。アメリカ発のカジュアルなスポーツウェアは着用せず、マウンテンバイクに乗るようなこともない。避暑地で乗られる自転車もイギリス風のものだ。人目に触れる場において、あくまでイギリス式を貫く姿勢には、「日本は決してアメリカの属国ではない」という気概を感じると、谷本氏は述べている。少なくとも、敗戦後もイギリス的な規範を維持し続けていることには、畏敬の念を抱かざるを得ない。
天皇ご一家が「山の日」式典にご出席された際の様子。皇室とイギリス文化(山登りなど)の関連を示唆。
結論として、日本の皇室が戦後もイギリス的な規範や文化を維持し続けていることは、国際的に見ても独特であり、イギリスからはその姿勢が高く評価されている。これは、単なる文化的な影響に留まらず、歴史的な背景や潜在的なナショナリズムとも結びついている可能性が示唆されており、興味深い点である。
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