葛飾区 サッカークラブ巡り住民訴訟 トレーラーハウス「格安賃料」に問題指摘

葛飾区を被告とし、ある一般社団法人へのトレーラーハウス賃貸借契約における賃料の廉価性を問題視する住民訴訟が6月24日に提起されました。この訴訟は、区に対し適正な賃料との差額請求などを求めるものです(地方自治法242条の2第1項4号に基づく)。この問題は、区が誘致したサッカースクール関連の施設利用を巡る経緯の中で浮上しました。

「キャプテン翼」ゆかりの地にバルサアカデミーを誘致

葛飾区は、人気漫画「キャプテン翼」作者ゆかりの地として知られ、まちおこしに同作品を活用してきました。2011年、区民有志が「キャプテン翼」の地でFCバルセロナのオフィシャルスクール誘致を計画し、区もこれに協力。2015年には運営団体として一般財団法人「キッズチャレンジ未来」が設立されました。

トレーラーハウスを月額2500円で賃貸

キッズチャレンジ未来と葛飾区は2015年1月、区営東金町運動場の優先利用協定を締結し、区は約4億6000万円を投じてグラウンドに夜間照明や人工芝を整備しました。加えて、区はキッズチャレンジの要望に応じ、区内にある都立水元公園内に設置したトレーラーハウスを事務管理棟・シャワールームとして使用するため、月額わずか2500円で賃貸しました。

運営不正疑惑と協定終了、続く疑問点

しかし、2024年9月、キッズチャレンジ未来が区に無断で2023年3月に営利企業である株式会社アメージングスポーツラボジャパンに事業譲渡していたことが発覚しました。これを機に、キッズチャレンジ未来の運営自体にも疑惑が生じ、区議会での追及により、赤字経営下で接待交際費が年間1000万円を超える年があったことも明らかになりました。

区は批判を受け、今年3月にキッズチャレンジ未来との協定を終了し、これに伴いトレーラーハウス賃貸借契約も終了しました。しかし、「混乱回避」を理由にグラウンド優先利用は10月まで継続予定であり、区議からは「なぜ今すぐやめさせないのか」との疑問の声が上がっています。

「適正賃料」求め住民訴訟へ

今回提起された住民訴訟は、特にトレーラーハウスの月額2500円という賃料が適正価格からかけ離れており、区に損害を与えたとして、その差額などをキッズチャレンジ未来に請求するよう葛飾区に求めるものです。

葛飾区のトレーラーハウス賃料問題を指摘する船尾弁護士。住民訴訟に関連する資料を示している。葛飾区のトレーラーハウス賃料問題を指摘する船尾弁護士。住民訴訟に関連する資料を示している。

この訴訟を通じて、一連の経緯や公金支出のあり方が問われることになります。

この住民訴訟の行方は、葛飾区におけるサッカースクール誘致事業に関連した公有財産の管理・運用、および第三セクター的な団体の運営に対する監視のあり方に一石を投じるものとなります。

参照:[Yahoo!ニュース (弁護士ドットコムニュース)] (https://news.yahoo.co.jp/articles/4ced4853a8ce73ee1f2cd5a881808252e5a8a2b0)