回転寿司の人気ネタといえば、最近はサーモンが不動の1位です。ほかにはマグロの赤身やエビが人気上位に並びます。しかし、ダイエットの観点から考えると、この寿司ネタ選びは少し残念かもしれません。なぜなら、「痩せるアブラ」を摂る機会を逃していることになるからです。
のべ30万人以上を診察した内科医の奥田昌子医師は、科学的根拠をもとに日本人が効率よく痩せる方法を紹介しています。奥田医師が指摘する、「ダイエットの味方になってくれる魚のアブラ」とは一体どのようなものでしょうか。
人気の寿司ネタとその落とし穴
大手水産会社が回転寿司で人気のネタを調査した2024年の結果によると、月に1回以上利用する層で最もよく食べるネタとして約半数があげたのがサーモンでした。サーモンは13年連続の1位で、「脂が乗っている」「食べやすい」といった点が人気の理由です。続いて、全体の3分の1がマグロ赤身と回答し、次いでハマチ・ブリ、エビ、マグロ中トロの順でした。
人気の寿司ネタ(サーモンやマグロなど)と「痩せる」魚の脂(写真)
この調査でブリと一緒になっているハマチはブリの幼名で、体長が異なります。エビ、カニ、タコ、イカなどを含め、魚介は風味も食感もさまざまで、それを比較的手頃な価格で楽しめるのが回転寿司の魅力です。日本人は古くから魚を食しており、肉と同様に魚も大切な栄養源と考えられています。しかし、単に好きなものや人気ネタを選ぶだけでは、見逃している健康メリットがあるのです。
健康効果が医学的に評価される魚の力
魚が体によいのは医学的に広く認められている事実です。特に、動脈硬化の予防に役立つ効果は高く評価されています。心筋梗塞を含む心臓病は近年、日本人の死因の2位となっていますが、それでも日本は心筋梗塞の発症率が世界でもっとも低い国の一つです。
この理由としては、遺伝的な背景により日本人は善玉コレステロール(HDL)が多いことや、歴史的に魚を日常的に食べてきた食習慣が関連していると考えられています。魚に含まれる健康に良いアブラとは、主に「オメガ3脂肪酸」と呼ばれる多価不飽和脂肪酸、中でもEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を指します。これらは血液中の中性脂肪を減らしたり、血小板の凝集を抑えて血液をサラサラにしたりする効果などが期待でき、動脈硬化の予防に繋がります。
ダイエットの味方となる寿司ネタ
では、ダイエットや健康維持の観点から、積極的に摂りたい「痩せるアブラ」(オメガ3脂肪酸)を効率よく摂取できる寿司ネタは何でしょうか。人気のサーモンにも比較的多く含まれていますが、より豊富なのはアジ、サバ、イワシ、サンマなどのいわゆる青魚です。
これらの青魚は、EPAやDHAを非常に豊富に含んでいます。独特の風味がありますが、握り寿司やたたき、あるいは薬味と一緒に提供されることが多く、美味しく手軽に良質な脂質を摂取することが可能です。定番の人気のネタだけでなく、アジやサバといった青魚も選ぶことで、魚の持つ動脈硬化予防などの健康効果を最大限に引き出し、美味しく健康的に、そして賢くダイエットをサポートすることができるでしょう。