■桜吹雪に酔いしれている場合か
最近20年余りで日本の平均世帯所得は100万円以上も減っている。この事実を、国土学総合研究所所長の大石久和氏が「この間の政治が機能してこなかった証明である」と紹介している。ペンス米副大統領が述べる「過去2年半の(米国の)平均世帯収入は5千ドル以上上昇した」という状況とは対照的だ。国際関係に目を移せば、櫻井よしこ氏が論じるように、朝鮮半島情勢は歴史的な局面を迎えており「日清戦争前夜を連想させる危険な情勢が出現した」といっても過言ではない。中国の横暴については、右の欄で展開している通りだ。
内外の危機に日本はどう対処すべきかを論じるのが政治の役割である。しかし、国会はのんきに桜吹雪に酔いしれている。果ては台風の夜に霞が関に官僚を足止めし、彼らからの恨みが漏れ伝わるや“逆ギレ”して、果ては国会議員の免責特権を盾に民間人の名誉を傷つける行為に及ぶ野党議員まで出る始末。
与党も頼りないとはいえ、国家の大事そっちのけでの暴挙は目に余る。あえてアゴラ編集長の新田哲史氏と政策シンクタンク代表の原英史氏に、国民民主党の森裕子参院議員の所業を指弾していただいたゆえんである。(溝上健良)