英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は26日、イランの貯蔵する高濃縮ウランの多くが米軍の核施設攻撃後も「無傷」の状態だとする欧州当局者の初期的な分析があると報じた。関係者2人の話としている。複数の場所に分散されたとみられるという。
イランは核兵器に転用可能なレベルに近い高濃縮ウラン408キロを貯蔵しているとされる。米軍の攻撃を巡っては、米CNNなども「イランの核開発計画の中枢部分は破壊されず、計画を数カ月遅らせるにとどまった可能性が高い」とする米情報機関の初期的な分析を報道した。
FTは専門家の見解として、イランが高濃縮ウランの保有を維持し、秘密施設に先端的な遠心分離機を設置していれば、核兵器に必要な核分裂性物質を製造できると指摘している。
トランプ米大統領は米軍の攻撃でイランの核開発計画は「壊滅した」と繰り返し強調しているが、報道が事実であればその主張の根拠が揺らぐことになる。26日も自身のソーシャルメディアに「施設からは何も持ち出されていない」と投稿。ホワイトハウスの行事では「壊滅したことは証明されている」と述べた。
ヘグセス米国防長官は26日、CNNなどの報道を否定するために行った記者会見で、イランの高濃縮ウランが「あるべき場所になかったり、どこかに移されたりしたという情報には触れていない」と発言。ホワイトハウスのレビット報道官も26日の記者会見で「攻撃前に高濃縮ウランが移されたことを示すものは何もない」と話した。【ワシントン金寿英】