ペルー最高峰ワスカランで日本人女性2人が遭難 1人死亡確認

南米ペルーの最高峰ワスカラン山(標高6768m)で、日本人女性登山者2人が遭難する事故が発生し、うち1人の死亡が確認されました。もう1人の女性は救助され、治療を受けています。この痛ましい事故は、高山での登山におけるリスクと、過酷な状況下での救助活動の困難さを浮き彫りにしています。

頂上付近での遭難と困難な救助活動

遭難したのは稲田千秋さん(40)と寺田紗規さん(35)の2人です。両氏はワスカラン山の山頂に近い標高約6600m地点で動けなくなりました。稲田さんが所属する団体からの情報によると、日本時間の24日午後3時半頃、稲田さんの体調不良により身動きが取れない状況になったとして、現地のレスキュー隊に救助要請が入りました。

この高所での遭難に対し、レスキュー隊はただちに現場へ向かいましたが、標高約6600mという極めて高い地点までヘリコプターが到達することが困難でした。そのため、救助隊は担架などの装備を携行し、徒歩で現場へ向かうことを余儀なくされました。地形の険しさや酸素の薄い高所での徒歩による救助活動は、非常に時間と労力を要するものです。

発見時の状況と犠牲者の確認

現地での懸命な救助活動の結果、2人は25日夜に発見されました。発見時、寺田さんは意識がある状態でしたが、稲田さんは意識不明の状態でした。残念ながら、稲田さんはその場で死亡が確認されました。

レスキュー隊員は、過酷な状況下で担架を運びながら、一刻も早く遭難者の元へたどり着こうと懸命な救助活動を行っていました。

ペルー・ワスカラン山で担架を運びながら救助活動を行うレスキュー隊員ペルー・ワスカラン山で担架を運びながら救助活動を行うレスキュー隊員

意識のある状態で発見された寺田さんは、その後、ペルー国内の医療施設に移送され、必要な手当てを受けています。

推定される遭難原因と関係者の悲痛な声

今回の遭難事故の原因について、現地の専門家は悪天候が主要因である可能性を指摘しています。ペルー山岳ガイド協会の会長は、「原因は悪天候でしょう。2人は頂上に到達した後、霧に包まれ、下山途中に迷ったと推測されます」と述べています。高山においては天候の急変が頻繁に起こり、特に濃霧は視界を奪い、ルートを見失うリスクを著しく高めます。

突然の悲劇に見舞われた稲田さんについて、関係者からは悲痛な声が上がっています。稲田さんが所属していたWMA Japanの広報担当者である寺田達也さんは、「あまりにも突然の話で、ここ2日ぐらいで急転直下なことだったので、もう現実を受け止められずにいるというのが、メンバーの中の率直な感想になる」と、現在の心境を語りました。

今回の事故は、世界中の高山に挑戦する登山者にとって、改めて自然の厳しさと安全対策の重要性を認識させる出来事となりました。ペルー当局による詳しい事故原因の調査が進められています。

(「イット!」2024年6月26日放送より)

参考文献

  • FNNプライムオンライン
  • イット!