夏に向けて「ダイエット」を考えている方が増えています。しかし、健康的に痩せるには、ただ食事量を減らすだけでなく、「血糖値」のコントロールが非常に重要だと、生活習慣病の専門医である牧田善二氏は指摘します。特に注意が必要なのは、「ヘルシーに見えるのに、実は糖質が多い食品」です。これらの食品を知らずに摂取していると、血糖値の急上昇を招き、ダイエットの妨げになるだけでなく、様々な健康リスクを高める可能性があります。本記事では、牧田医師の著書『医者が教えるダイエット 最強の教科書』から、そんな隠れた「糖質」の多い食品を紹介します。
血糖値コントロールがダイエット成功の鍵
健康的にダイエットを成功させる上で、最も重要な要素の一つが食後の「血糖値」を適切にコントロールすることです。血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度を示します。「糖質」を多く含む食品を摂取すると、この血糖値は上昇します。
適切な知識があれば自分で管理できる数値ですが、「ヘルシーだから大丈夫」と安易に考えている食品の中にも、実は大量の糖質が含まれているものがあります。ここでは、健康的なイメージとは裏腹に、血糖値を急上昇させやすい、つまり「糖質」が多く含まれている食品を具体的に紹介します。
意外に多い「ヘルシーに見えて高糖質」な食品
(1) フルーツジュースや野菜ジュース
新鮮な果物を絞ったジュースや、果物をたっぷり使ったスムージーを「健康習慣」として日常的に取り入れている方は少なくありません。しかし、こうした飲み物には、果実数個分にも相当する「果糖」が凝縮されています。スムージーの場合、牛乳やヨーグルトに含まれる「乳糖」も糖質です。果物を摂るなら、ジュースやスムージーではなく、そのまま少量食べる方が血糖値への影響は緩やかです。
また、手軽だからと市販の野菜ジュースをよく飲む方もいますが、飲みやすさを追求するために「濃縮果汁」や「糖類」添加が多く、血糖値の急上昇、いわゆる「血糖値スパイク」を招きがち。注意が必要です。
健康的なダイエットのために選ばれがちなフルーツスムージー。実は果糖や糖類が多く含まれ、血糖値の急上昇を招く可能性がある飲み物。
(2) そば
ヘルシーな和食の代表格として知られる「そば」ですが、牧田医師のクリニックで患者さんの血糖値を測定したところ、ざるそば一枚で血糖値が急激に上昇するケースが多く見られたそうです。そば粉は「炭水化物」のかたまりであり、「二八そば」のように小麦粉が加わっていても、糖質が多いという事実は変わりません。
さらに、そばはするすると喉越しが良いので、ついつい「早食い」になりがちです。これも血糖値の急上昇を招く要因となります。そばを食べる際には、意識的に食べるスピードを落とし、「タンパク質」や「食物繊維」が豊富な鶏肉や野菜などのおかずと一緒にゆっくりと味わうことを心がけましょう。
(3) じゃがいも、かぼちゃなどの芋類
ビタミン、ミネラル、食物繊維、そして抗酸化作用のある「ファイトケミカル」が豊富な野菜は、糖質制限中にも積極的に摂りたい食材です。しかし、「じゃがいも」や「さつまいも」といった芋類、そして「かぼちゃ」は例外的に「糖質」を非常に多く含んでいます。減量を目指す方は、これらの食材は避けるのが賢明です。
「サラダや和食=健康的」というイメージから、サラダに混ざったかぼちゃや、煮物に入ったじゃがいも、里芋などを見落としがちです。どのような調理法であっても、芋類やかぼちゃは糖質過多であるという点を忘れないでください。一見、家庭的で健康的に見えるお惣菜にも、糖質たっぷりの野菜が使われている可能性があるのです。
知らず知らずのうちに摂りすぎている糖質
ヘルシーに見えても糖質が多い食品は身の回りに溢れています。無意識に摂りすぎている可能性があります。一般的な血糖値基準(空腹時110未満、食後2時間140未満)を超えると糖尿病リスク増。高血糖は肥満や、がん、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病といった生活習慣病の原因となるAGEを増やします。正しい知識で食事を見直し、血糖値を安定させる習慣が、健康的ダイエットと健やかな毎日への第一歩です。