《今日も本気出せました!感謝です!》というメッセージと共に、「日本を元気に!」と書かれた旗を掲げ、電飾で飾られた自転車に乗る自身の動画をXに投稿した須藤元気氏の行動が注目を集めている。この動画に対し、SNS上では厳しい意見が多数寄せられている。「パフォーマンスが先行している」「政策が見えず響かない」といった声があり、彼の政治活動のあり方について疑問が呈されている。
国民民主党からの参院選出馬が注目される須藤元気氏。自身がXに投稿した「電飾自転車」に乗る動画の一場面。
須藤氏は、元プロ総合格闘家として「変幻自在のトリックスター」と呼ばれ、引退後は俳優や作家としても成功を収めるなど、多才なキャリアを築いてきた。政治への関心は10代から抱いていたといい、2019年の参院選で立憲民主党から比例代表で初当選を果たした。
立憲民主党離党と度重なる選挙での敗北
当選後、2020年の東京都知事選で山本太郎氏を支援したことや、立憲民主党の消費税減税に対する姿勢など、党との政策的な隔たりが生じ、無所属となった経緯がある。その後、2024年4月には衆議院東京15区補欠選挙に無所属で立候補するため、公職選挙法の規定により参議院議員を自動失職した。補選では山本氏の応援を受けたものの落選。同年10月の衆院選でも再び東京15区から無所属で立候補したが、当選には至らなかった。そして、今回の参院選では、過去に応援を受けた山本氏が率いるれいわ新選組ではなく、国民民主党公認の比例代表候補として出馬することが大きな話題を呼んでいる。
政策転換とその波紋
特に注目されているのは、須藤氏の過去の政策的主張と、国民民主党からの出馬にあたって表明した政策の見直しだ。須藤氏は2023年11月にXで《もういい加減ワクチン接種を進め続ける理由はないでしょ》と投稿するなど、過去には国民民主党の立場とは異なる反ワクチン的な姿勢を示していた。また、原発についても反対の立場を取っていた。
しかし、今年5月、国民民主党からの出馬を表明するにあたり、政策を見直したとしてXに以下のように投稿した。《1.原発について かつては否定的な立場でしたが、現在はエネルギー安全保障と現実的対応の観点から『安全性を確保した上での活用』は必要と考えています》《2.ワクチンなど医療分野について『副反応への懸念』を発信していましたが、ワクチンの重症化予防効果等を含めて科学的根拠を否定する立場ではありません。党の『科学的知見と透明性重視』の方針に従います》と、従来の主張を大きく転換させたことを明らかにした。
国民民主党幹事長の擁護と懸念
このような政策転換について、国民民主党の支持層からは依然として納得の声ばかりではない。6月20日の定例会見で、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、須藤氏の過去の反ワクチン発言について「専門家の方や(医師でもある同党の)福田徹衆院議員、玉木さんともいろいろな会話をされたようだ。大変素直に勉強されて、誤解のあった発言については反省をされた」と擁護する発言をした。
国民民主党は、かつて山尾志桜里氏の参院選比例代表擁立を巡って支持率が急落した「山尾ショック」を経験したばかりだ。過去に立憲民主党との間で政策的な軋轢を生じさせた須藤氏だけに、今回の擁立が新たな波紋を呼び、党にとって新たな“ショック”とならないか、懸念する声も上がっている。彼の今後の選挙活動と国民民主党内の動きが注視される。