短期滞在中のベトナム人向けに独身であることを示す「独身証明書」などを発行してもらう見返りに、在福岡ベトナム総領事館の男性領事(38)に現金15万円を渡したとして、兵庫県警捜査2課と組織犯罪対策課は2日、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の疑いで、ベトナム国籍のズオン・ティ・テー容疑者(34)=神戸市長田区=を逮捕した。容疑を認めている。外国公務員に対する贈賄容疑での摘発は全国で2件目という。
県警によると、男性領事の銀行口座には平成28年5月以降、ズオン容疑者から約200回に分けて現金計約400万円が振り込まれていた。県警は数年にわたり不正が続いたとみて捜査している。
逮捕容疑は平成29年5月~31年1月ごろ、同総領事館に勤務していたベトナム国籍の男性領事に対し、短期滞在の資格で来日したベトナム人5人が独身であることを示す婚姻要件具備証明書などを不正に発行してもらう見返りに、5回に分けて現金計15万円を渡したとしている。
県警によると、外国人が自治体に婚姻届を提出するには同証明書などが必要で、観光目的など短期滞在のベトナム人が国内で発行を受けることはできない。ズオン容疑者は28年2月ごろからベトナム人の在留許可申請に関する手続きを代行しており、自身のフェイスブック上で「証明書類出せます」などと宣伝していた。
顧客から依頼を受けたズオン容疑者が男性領事に連絡し同証明書を発行。1件あたりの手数料約6万円のうち3万円が男性領事側に渡っていたとみられる。
外国人公務員を罰する法律上の規定はなく、男性領事は今年7月に出国。同総領事館は取材に対し「お答えすることはできない」としている。