TOTOウォシュレット、米国で「なくてはならない存在」へ?セレブ愛用で急成長

日本の家庭や公共施設で広く普及しているTOTOの温水洗浄便座「ウォシュレット」。東アジア各国でも定着する一方、米国市場では長年苦戦が続いていました。しかし近年、状況は一変。意外な場所での人気が火付け役となり、急成長を遂げています。かつては受け入れられにくかった日本のトイレ技術が、なぜ今、米国で注目されているのでしょうか。

日本でのウォシュレットの定着

ウォシュレットが初めて登場したのは1982年。当時のテレビCMは、その革新的なコンセプトで大きな反響を呼びました。「おしりだって洗ってほしい」というキャッチフレーズは社会現象となり、賛否両論を巻き起こしながらも、新しい衛生習慣を提案しました。

それから40年を経て、ウォシュレットを含む温水洗浄便座は日本の生活に深く根付きました。政府調査によると、家庭への設置率は8割を超え、オフィスや公共トイレでも標準的な設備となっています。

米国市場でのブレイクスルー

長らく保守的とされてきた米国のトイレ文化において、ウォシュレットは高価で不要なものと見なされがちでした。しかし、近年その認識が変わりつつあります。特に、5つ星ホテルへの導入やセレブの間での愛用が注目を集めました。

コメディアンのアリ・ウォンは番組で絶賛し、ラッパーのドレイクがアーティストのDJキャレドに複数台を贈るエピソードは広く知られています。これらの話題がSNSなどを通じて拡散し、ウォシュレットは「クール」で「衛生的」なアイテムとして認知され始めました。

業界レポートによると、自宅をリフォームする米国人の多くが温水洗浄便座を選ぶようになっており、その傾向は強まっています。この需要増を受け、TOTOの米州事業の利益は過去5年で8倍以上と飛躍的に伸びました。

米国での人気を示すTOTOウォシュレットのモダンなショールーム風景米国での人気を示すTOTOウォシュレットのモダンなショールーム風景

TOTO社長の田村信也氏は、ウォシュレットが海外でこれほど人気が出るとは予想外だったとしながらも、「いったん火がつくと、Jカーブを描くように急成長する傾向がある」と、今後のさらなる拡大に自信を示しています。

かつてはニッチな製品だったウォシュレットは、米国セレブ文化やヘルスコンシャスなトレンドと結びつき、新たな市場を切り開いています。日本の先進技術が海を越え、世界の衛生観念を変える可能性を示唆しており、その急成長は今後も続くことが期待されます。

出典:Yahoo!ニュース / COURRiER Japon