NHK、4年連続赤字見通し:受信料減収とコスト削減の遅れ

NHKは2024年度決算で449億円の赤字を計上し、2年連続の赤字となりました。2025年度、2026年度も赤字が見込まれており、4年連続の赤字がほぼ確実な状況です。このNHKの厳しい経営状況は、受信料の大幅引き下げが主因ですが、番組制作費や人件費の削減が減収ペースに追いついていない現状を示しています。収支バランス改善とコンテンツ質維持の課題に直面しています。

NHKの財務状況を示すイメージ図と黒字化への課題NHKの財務状況を示すイメージ図と黒字化への課題

受信料減収とコスト削減の遅れ:収支不均衡の深刻化

収支バランス悪化の最大の要因は、2023年10月からの受信料約1割引き下げです。これにより事業収入は2019年度の7384億円から2024年度は6125億円へと、5年間で1259億円(17.1%)減少しました。さらに、2023年の訪問営業停止の影響で支払率も低下し、2024年度は77.5%です。

一方、国内放送費(2019年度比204億円減)や人件費(同18億円減)といった主要経費は、合計222億円(4.8%)の削減に留まっています。収入が17.1%減る中でコスト削減が4.8%しか進んでおらず、収支不均衡が拡大しています。

視聴者の声:増える再放送とコンテンツの質の懸念

「予算の関係なのか、新しい番組をつくるスタッフが不足しているのかわからないが、再放送が多く感じる」。これは2025年5月24日に開催されたNHK経営委員会の「視聴者のみなさんと語る会」で寄せられた意見です。多くの視聴者が、NHKの番組編成に対し同様の感覚を抱いている可能性が高いでしょう。

実際、6月28日土曜日午前のNHK総合テレビの番組表を見ると、「チコちゃんに叱られる!」「ドキュメント72時間」「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」「鶴瓶の家族に乾杯」「首都圏情報ネタドリ!」と、多くの番組が再放送で占められていました。これは民放キー局ではあまり見られない編成です。NHKは受信料引き下げ時に「経営資源を質の高いコンテンツ制作に集中させる」方針を示していましたが、このような土曜日午前の番組内容は、その方針の負の側面が表れているとも言えます。

NHKで繰り返し再放送されている人気番組の画像例NHKで繰り返し再放送されている人気番組の画像例

収支バランスの課題と将来への影響

NHKは受信料収入の大幅減に対し、コスト削減が追いついていないため、収支バランスが悪化し、赤字継続の見通しです。このような財政状況は、「再放送が多い」といった視聴者の体感にも繋がり、コンテンツ質維持・向上という公共放送の使命に影響を与えかねません。4年連続赤字が見込まれるNHKは、より効果的な構造改革と収支改善策が求められています。

参照元

https://news.yahoo.co.jp/articles/ff7f21567689a61225ceb1ca4eac75e2bfea25f0