米国が追加関税発動期限としている8月1日が目前に迫る中、米国が韓国に対し「日本と同規模の投資および購入」を強力に要求していることが明らかになった。日本が大規模な投資ファンド造成やボーイング社航空機購入などを約束した経緯と比較され、米韓間の経済交渉は緊迫した局面を迎えている。この要求が、米韓貿易摩擦の新たな火種となる可能性も指摘されている。
米国からの巨額要求:日本との比較と韓国政府の反応
米国は当初、日本との交渉が合意に至る前から韓国に対し4000億ドル(約60兆円)規模の投資基金造成を求めていたとされる。しかし、過去にトランプ大統領が日本やEUとの交渉で見せた「即興増額」を考慮すると、その規模はさらに膨らむ可能性が高い。韓国政府関係筋は30日、「米国の要求を全て合わせると4000億ドル水準をはるかに超える」と明かした。この巨額の要求は、韓国経済に大きな負担となる懸念がある。
難航する交渉:トランプ大統領の強硬姿勢と最終局面
李在明大統領は同日午後、米国に滞在中の具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相兼企画財政部長官、金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官、呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長、そして訪日中の趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官から、交渉の状況に関するビデオ報告を受けた。これに先立ち、米国滞在中の3人は29日(現地時間)にワシントンでハワード・ラトニック米商務長官との交渉に臨んだが、両者の認識の違いを埋めることはできなかった。トランプ大統領は30日、自身のSNS(交流サイト)で「8月1日の期限の延長はしない」と改めて表明し、韓国政府に強い圧力をかけている。具副首相は現地時間の31日午前9時45分(韓国時間31日午後10時45分)にスコット・ベッセント米財務長官に直接談判する予定であり、交渉は最終局面を迎えている。
ワシントンでハワード・ラトニック米商務長官と交渉する韓国の具潤哲経済副首相兼企画財政部長官。米韓間の追加関税交渉の緊迫した状況を示す。
核心争点:「投資規模」と「市場開放」
米韓交渉の核心的な争点となるのは「投資規模」と「市場開放」だ。米国は「4000億ドル規模のファンド」の造成に加え、「米国製製品の大量購入」、さらにはコメ・牛肉・自動車などに対する韓国市場の一部開放までを要求しているという。これらの要求は、韓国の産業構造や国民生活にも大きな影響を及ぼす可能性があり、韓国政府は慎重な対応を迫られている。
民間からの支援:現代自動車グループの動き
最終交渉を前に、韓国の主要企業も政府の交渉を側面から支援する動きを見せている。現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長は30日、ワシントンに向かった。鄭会長は米政権の要人との面会を推進するなど、韓国政府の交渉を支援する見通しだ。現代自動車の張在勲(チャン・ジェフン)副会長とホセ・ムニョス社長も鄭会長に合流した。今年4月から自動車への25%関税で打撃を受けている現代自動車は、今回の交渉での「自動車関税引き下げ」に会社の命運を賭けている。
まとめ
米国が韓国に対し、日本に課した規模と同等の巨額な投資と製品購入を強く要求している現状は、追加関税発動期限が迫る中で交渉の難航を招いている。トランプ大統領の強硬姿勢が続く中、韓国政府は投資規模と市場開放という二つの主要な争点において、困難な選択を迫られている。現代自動車グループのような民間企業の動きも、交渉の行方を左右する重要な要素となるだろう。
参考文献