参院選埼玉選挙区、過去最多15人立候補か 激戦展望

第27回参議院選挙(7月3日公示、20日投開票)の埼玉県選挙区(改選数4)では、過去最多の15人が立候補を表明しており、激しい選挙戦が予想される。現時点の情勢では、自民党と立憲民主党の候補者がやや先行しているとみられ、残る2議席を巡って公明党、共産党、国民民主党が競り合う構図となっているが、共産党はやや出遅れ気味との見方もある。各党とも楽観視できる状況ではなく、今後の票の取り合いは一層激化するだろう。

参院選埼玉選挙区の掲示板(さいたま市浦和区、2025年7月2日撮影)。7月3日の公示を前に、候補者ポスター掲示準備が進む様子を示す。参院選埼玉選挙区の掲示板(さいたま市浦和区、2025年7月2日撮影)。7月3日の公示を前に、候補者ポスター掲示準備が進む様子を示す。

主要政党の動向と課題

自民党・公明党

自民党埼玉県連会長である柴山昌彦衆院議員は、「逆風の中、厳しい戦いとなるが自公の議席を死守する」と危機感を示している。4選を目指す現職の古川俊治氏(62)は、過去2回の選挙でトップ当選しており、今回も議席獲得は有力視されている。しかし、石破茂内閣の支持率低迷が影を落としており、自民・公明合わせて2議席の「現状維持」が最大の目標となる。公明党から3選を目指す現職の矢倉克夫氏(50)も、「政治に対する不信感をいかに今回払拭できるかが課題」と述べており、厳しい戦いを意識している。

立憲民主党

立憲民主党は、参院選の前哨戦と位置付けられた6月の東京都議選で議席を増やした勢いを背景に、再選を目指す現職の熊谷裕人氏(63)の当選は堅いとの見方がある。しかし、支持母体である連合埼玉が立憲民主党と国民民主党の両候補を支持するなど、懸念材料も抱えている。このため、特定の支持層だけでなく、無党派層の取り込みが重要な戦略となる。

国民民主党

国民民主党は、昨年(令和6年)の衆議院選挙から続く勢いを維持できるかが鍵となる。加えて、今回初当選を目指す元埼玉県議の江原久美子氏(54)の「知名度がいまひとつ」(同党関係者)であることが課題として挙げられている。党勢拡大と議席確保のため、前埼玉県知事で同党会派の参議院議員である上田清司氏の支援を得て、選挙戦を戦い抜く方針だ。

共産党

共産党は前回選挙で、党として21年ぶりに埼玉県選挙区で議席を獲得した。今回、再選を目指す現職の伊藤岳氏(65)は、「再選と比例区での50万票獲得を勝ち取り、参院でも自公を少数に追い込むために戦い抜く」(同党埼玉県委員会の柴岡祐真委員長)との姿勢を示している。しかし、長年の支持者の高齢化が進み、組織票に陰りが見え始めているとの指摘もあり、公明党や国民民主党にリードを許している状況とみられる。

新たな勢力:参政党の台頭

近年、参政党の存在感が全国的に増しており、元飯能市議の大津力氏(53)が立候補した埼玉県選挙区にもその影響が波及する可能性がある。自民党の派閥の政治資金パーティー収入不記載事件など、「政治とカネ」の問題で自民党に愛想を尽かした保守層の一部が参政党に注目している。国民民主党は当初、元衆議院議員の擁立を見送った経緯があり、一連の対応への批判的な声も存在する。これらの要因から、参政党が自民党や国民民主党から票を奪う勢いが出てきているとの分析もある。

まとめ

埼玉県選挙区は改選数4に対し、過去最多の15人が立候補を表明しており、激しい争いが予想される。現職が中心となる自民党と立憲民主党が先行する中、公明党、国民民主党、共産党が残る議席を激しく争う構図だ。さらに、政治資金問題を背景に保守層の一部から支持を集める参政党の動向も注目される。各党とも危機感を募らせており、7月3日の公示以降、票獲得に向けた動きは一層活発化するだろう。

参考文献

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