開催中の大阪・関西万博で、6月28日夜に実施された花火の打ち上げ後、会場のバス・タクシー乗り場である第1交通ターミナル周辺で大規模な混雑が発生し、一時約6千人が滞留していたことが分かりました。この影響で、近隣駅へ向かうシャトルバスに乗車できなかった利用者が約100人に上ったと、万博を主催する日本国際博覧会協会が明らかにしました。今後も花火の打ち上げが予定されており、協会は混雑緩和に向けた対策を急いでいます。
花火後の交通ターミナルで発生した混乱
混雑が発生したのは、万博会場の西ゲート近くに位置する第1交通ターミナルです。ここは近隣駅へのシャトルバス、駐車場への送迎バス、そしてタクシーの主要な乗降場となっています。6月28日(土)は、開会以来最多となる約18万5千人が万博に来場。午後7時40分からの約5分間、約1千発の花火が打ち上げられ、多くの来場者が観覧しました。
花火終了後、大勢の来場者が一斉に帰路についたため、第1交通ターミナルは急速に混雑しました。協会によると、午後10時過ぎには約5900人が、午後10時20分には約6千人がターミナル周辺に滞留する状況となりました。午後11時時点でも、なお約900人が残っていたといいます。
混雑の原因とシャトルバスへの影響
混雑の主な原因の一つは、タクシーの利用集中とその乗車手続きに時間がかかったことです。多くのタクシーがターミナルに集まりましたが、特にアプリによる配車で呼ばれたタクシーについては、警備員が車両ナンバーを読み上げて客に知らせる必要があり、乗車までに時間を要しました。
このため、ターミナルに入りきれないタクシーの列が万博会場の外、夢舞大橋まで続く大規模な交通渋滞を引き起こしました。この渋滞は、シャトルバスのターミナルへの到着を遅らせる要因ともなりました。
一方、タクシーを待つことを諦め、バス利用に切り替える来場者も増えました。近隣の駅行きシャトルバスのうち、最も利用者が多いJR桜島駅行きでは、急遽観光バスを調達するなどして25本が増便され、計309本が運行されました。しかし、それでも乗車を希望した約100人が乗ることができず、協会側はこれらの人々に対し、タクシーの利用を要請する事態となりました。
混雑する大阪・関西万博会場の第1交通ターミナルのタクシー乗り場 (2025年6月28日午後10時20分頃)
大阪・関西万博 第1交通ターミナルへ向かうタクシーなどの交通渋滞 (2025年6月28日午後9時50分頃、夢洲北高架橋付近まで列が続く)
今後の混雑対策
万博会場では、7月21日と23日にも花火の打ち上げが予定されており、再び来場客の増加とそれに伴う交通混雑が予想されます。
協会は、この事態を受けて混雑緩和のための対策を講じることを決定しました。具体的な対策として、7月15日からはアプリで配車予約をしたタクシーの乗り場を、団体客用バスなどの乗降場となっている第2交通ターミナルに移転します。これにより、第1交通ターミナルの混雑を分散させる狙いです。
また、シャトルバスについても、事前の予約がないと乗車できないようにする予約制の導入運用を検討しています。
協会交通部長の淡中泰雄氏は、「来場者には大変ご迷惑をおかけして申し訳なかった。今回の反省点を生かし、今後の混雑解消に全力で努めたい」と述べ、再発防止への決意を示しました。
出典
朝日新聞社