世界的な紛争の増加やアメリカ国内の緊張の高まりを受け、海外への移住を真剣に検討するアメリカ人が増えています。夏の海外旅行の計画にも影響が出かねないこの状況下で、各国の「平和度」が改めて注目されています。本記事では、その指標となる世界平和度指数(GPI)の2025年版ランキングに焦点を当て、現状を解説します。
アメリカの現状と世界平和度指数
世界やアメリカ国内の緊張の高まりは、多くのアメリカ人にとって、もはや自国が「安全な居住地ではない」と感じさせる一因となっています。そして、それは決して感情論だけではありません。2025年版の世界平和度指数(Global Peace Index:GPI)による評価では、アメリカの平和度は世界の128番目と、南アフリカやジンバブエ、インドといった国々よりも下位に位置付けられています。
国際情勢を受けて海外移住を考えるアメリカ合衆国の人々
GPIは、社会の安全や治安、現在進行中の紛争、そして軍事化の度合いなどを総合的に評価して算出される指標です。
海外移住を検討する背景
GPIの評価だけでなく、高い犯罪率、理想とはかけ離れたワークライフバランス、上昇する生活費、そして子育てに関する価値観の違いなども、海外移住を検討するアメリカ人が増加している理由として挙げられます。
実際に、2024年10月に発表されたガラップのアンケート調査では、回答者の21%が「海外に移住したい」と答えており、これは2023年の17%、2011年の10%から顕著な増加を示しています。ただし、この同じ調査は、他国の人々にとって「最も移住したい国」が依然としてアメリカであることも同時に明らかにしています。
ここ数日間の国際情勢の動きも、海外旅行や移住を考える人々の間で国際的な平和の重要性を再認識させています。特に、アメリカがイランの核施設を攻撃したとする報道の後、国家テロ警戒システム(NTAS)は「アメリカ国内における脅威が高まっている」と警告する声明を発表しました。イスラエルとイランの間では一旦停戦が宣言されたものの、その維持は依然として不透明であり、国際情勢の不安定さは続いています。
2025年 世界平和度指数トップ10(一部)
このような背景の中、2025年版の世界平和度ランキングでトップ10にランクインした国々を見てみましょう。(※原文情報に基づき、一部抜粋となります)
10位 フィンランド
フィンランドは、GPIの「社会の安全と治安」分野で世界3位にランク付けされました。この分野では、殺人発生率、政治的弾圧、暴力的なデモ、犯罪に対する人々の認識といった要素が評価対象となっています。フィンランドは世界有数の平和な国であると同時に、「世界幸福度ランキング」でも常に上位にランクインしており、より良い生活を求める海外移住者にとって魅力的な国となっています。
結論
アメリカ人の海外移住への関心が高まっている背景には、国内外の安全に対する懸念、生活環境への不満、そして最新の世界平和度指数ランキングが示す自国の相対的な平和度の低さなど、複数の要因があることが分かります。GPIのような指標は、世界の平和と安全の現状を理解するための重要な手がかりとなります。平和な国への関心は、今後も続くでしょう。