台湾海峡 M503飛行ルートに新支線 中国開設、台湾が「一方的」と強く反発

中国が台湾海峡のM503飛行ルートに新たな支線W121を開設したことに対し、台湾当局は「現状変更を試みる一方的な措置」だと強く非難しました。これは今年1月に既存ルートの変更と他の2本の支線開設に続く動きです。

中国当局の説明

中国の民間航空規制当局である民用航空局は6日、3本目となる支線W121の開設を発表し、「空域環境の一段の最適化、運航効率向上」が目的だと説明しました。中国の台湾政策を所管する国務院台湾事務弁公室も、今回の措置は「飛行の安全確保、飛行遅延の低減、乗客の権利と利益の保護」が目的とし、両岸(中国と台湾)にとって「有益」だと指摘しています。

台湾海峡M503飛行ルートと支線W121 W122 W123の位置を示す図台湾海峡M503飛行ルートと支線W121 W122 W123の位置を示す図

M503ルートと中間線の背景

中国が設定したM503ルートは、台湾海峡の中間線付近を通過します。中国は2024年1月、M503の南方向の運航ルートについて、本来のルートからずらす措置を取り消し、中間線により近づく形に変更しました。同時に、M503の支線として「W122」および「W123」を開設しており、今回のW121を含めこれら3本の支線は全て、西から東、つまり中国本土から台湾の方向へ延びています。台湾海峡の中間線は、長らく中台間の事実上の境界線として機能してきましたが、中国は公式に認めておらず、近年、中国軍の航空機がこの中間線を越えて台湾側空域に接近する事例が頻繁に発生しています。

台湾海峡の中間線付近を飛行する航空機のイメージ図または関連地図台湾海峡の中間線付近を飛行する航空機のイメージ図または関連地図

台湾の強い反発

これに対し、台湾の対中政策決定機関である大陸委員会はロイターへの声明で、中国が「現状を変えるために一方的な行動を取り、両岸と地域の不安を増大させた」と強く批判しました。「中国本土の国際航空旅客数はコロナ禍前のレベルに回復していない」などとして、中国側の説明は「不当」だと指摘しています。

台湾 大陸委員会の建物または関係者の写真台湾 大陸委員会の建物または関係者の写真

軍事演習との関連

今回の措置は、台湾で9日から10日間にわたり定例軍事演習「漢光演習」が行われる直前に発表されたことにも注目が集まっています。

台湾軍事演習「漢光演習」の様子を示す写真台湾軍事演習「漢光演習」の様子を示す写真

結論として、中国による台湾海峡M503飛行ルートへの新支線W121開設は、台湾当局から「一方的な現状変更の試み」として強い反発を招いています。台湾の軍事演習が控えるタイミングでのこの動きは、すでに緊張が高まる両岸関係にさらなる懸念をもたらすものと言えます。