香港経済急激に悪化 15年ぶりに財政赤字転落 SARS時以上の低迷





3日、香港の立法会(議会)で記者会見に臨む林鄭月娥行政長官(左)(AP)

 【香港=藤本欣也、北京=三塚聖平】香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は3日の定例記者会見で、長期化する反政府デモの影響などにより今年度の財政収支が赤字になる見通しだと明らかにした。財政赤字は2003年度以来15年ぶり。抗議デモが本格化した6月以降、香港経済は急速な落ち込みに見舞われ、03年の新型肺炎(SARS)流行時など過去の景気悪化を上回る低迷を見せている。

 香港経済は米中貿易摩擦による中国経済の減速と、抗議デモ長期化という二重苦に見舞われている。19年7~9月期の実質域内総生産(GDP)成長率は、前年同期比でマイナス2・9%。四半期のマイナス成長は10年ぶりだ。財政赤字は、抗議デモ長期化による経済状況の悪化で税収減が進んでいることが影響している。

 最も打撃が大きいのがデモの影響で香港訪問客が減少し、消費が冷え込んでいることだ。香港政府が2日に発表した10月の小売売上高は前年同月比24・3%減の301億香港ドル(約4200億円)だった。香港紙、信報(電子版)によると、統計を取り始めた1981年以来で最大の下落幅を記録した。統計の中身を見ると、中国本土などからの旅行者を主な購買客とする宝飾品や化粧品などの品目で落ち込みが際立つ。

 企業への影響も大きい。香港航空はデモによる旅客需要の低迷で経営状況が悪化しており、11月29日にはカナダのバンクーバーなど3路線の停止を発表。従業員への給与遅配も伝えられており、香港当局は今月2日に香港航空に対して財務強化を強く求める声明を発表している。



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