「学歴はペーパーテストだけ」ではない? 大学受験が培う「社会で役立つ力」

日本において「大学受験」は、多くの10代にとって人生における最大の関門の一つです。希望する進路に進むため、そして将来の選択肢を広げる上で、学歴が依然として大きな価値を持つのが現実です。しかし、「高学歴な人は単にペーパーテストができるだけではないか」という批判的な意見も根強く存在します。新刊『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』を上梓した著者、びーやま氏は、この問いに対し、多くの人が見過ごしている受験の側面を指摘しています。

学歴の真価はペーパーテストに非ず

受験過程で磨かれる普遍的な能力

巷では「高学歴者は単に試験に強いだけ」との声も聞かれますが、びーやま氏はこれに対し、「半分は真実だが、半分は誤りだ」と見解を述べます。確かに高学歴者の多くがペーパーテストを得意とするのは事実であり、推薦入試でさえ学校の成績が重視されるため、試験能力がゼロということはありません。しかし、社会に出てからはペーパーテストの機会はほとんどなく、それだけで高い評価が続くのは不自然、という理屈も理解できるとした上で、別の側面を強調します。

びーやま氏が重要視するのは、ペーパーテストで高得点を獲得する「過程」で自然と磨かれる、社会で普遍的に役立つ「頭のよさ」です。大学受験は、単一科目ではなく複数の受験科目を並行して対策する必要があります。特に国公立大学のように、現代においては異例ともいえる7科目もの広範な範囲を、高校の3年間という限られた時間で全て完璧に仕上げることは、基本的に不可能です。

大学受験に向け、多くの参考書や問題集を前に戦略を練る受験生大学受験に向け、多くの参考書や問題集を前に戦略を練る受験生

この状況下で受験生は、「どの科目にどれだけ時間を投資すべきか」「得意を最大限に伸ばし、苦手科目は平均点レベルまで引き上げるにはどうすべきか」といった、自分にとって最も効率的で効果的な学習戦略を練ることを余儀なくされます。このように目標達成のために思考し、計画を立て、実行する能力は、まさに社会で通用する実践的なスキルに他なりません。

さらに、難関大学の合格を目指すとなれば、この戦略の精度や実行力が一層厳しく問われます。びーやま氏は、こうしたシビアな環境で培われた経験こそが、受験生を人間的にも、そして社会で評価される「頭のよい」人材へと成長させるのだと結んでいます。

このように、びーやま氏は学歴の価値を単なる試験結果ではなく、受験を通じて培われる戦略的思考力や効率性といった、社会で普遍的に役立つ能力に見出しています。彼の著書は、受験生や保護者に向け、新たな視点で大学受験と人生を捉え直す機会を提供します。

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