6月27日より、小芝風花(28)と佐藤健(36)がダブル主演を務めるドラマ『私の夫と結婚して』の配信がAmazon Prime Videoでスタートした。韓国で2024年に放送された同名ドラマの日本版となる今作は、配信開始から好調な評判を得ている。しかし、その人気の一方で、日本のエンターテインメント界におけるある深刻な課題も浮き彫りになっているとの指摘がある。
韓国原作ドラマの成功と日本版への期待
『私の夫と結婚して』は、不倫した夫と親友に殺された余命わずかの女性が、10年前にタイムスリップして人生をやり直し、復讐を遂げるというSFロマンティック・コメディだ。韓国版では、主人公の女性を人気女優パク・ミニョンが、主人公を支える御曹司をナ・イヌが演じ、本国で高い視聴率を記録した。この人気作の日本版企画には、オスカー受賞作『パラサイト 半地下の家族』を制作したCJ ENMと、『愛の不時着』などを手がけたスタジオドラゴンという、グローバル市場で勢いのある韓国大手2社がタッグを組んでいる。プロットから新たに制作された、両国にとって肝入りの日韓共同プロジェクトとなっている。
日本版の好調な評価と人気の理由
7月4日昼時点で、日本版は4エピソードが配信されているが、Prime Videoのレビュー数は137件、5点満点中4.2点と高い数値を維持。レビューサイト『Filmarks』でも5点満点中4.0点と高得点を得ている。「続きが気になる」「スカッとする」といった視聴者の声に加え、原作や韓国版のファンからも「韓国リメイク反対派だけどこれはなかなか面白かった」「きちんと日本版にアレンジしたのが好感」など、比較的肯定的な反応が見られる。韓国ドラマのリメイクや日本版が制作される際、内容やスケール、配役などと比較され否定的な意見が出がちだが、今作は脚本に日本の文化や背景が落とし込まれ、違和感のない作りになっている点が評価されている。
また、今年のNHK大河ドラマで花魁役を演じ俳優としての評価を高めた小芝風花と、完璧なビジュアルとクールな立ち居振る舞いでヒーロー役で定評のある佐藤健という、盤石の布陣であることも大きな話題性を呼んでいる。
ドラマ「私の夫と結婚して」日本版の佐藤健
浮かび上がる日本のエンタメ界における“俳優不足”課題
期待通りの好調なスタートを切った日本版『私の夫と結婚して』だが、SNSの反応をさらに掘り下げると、日本のエンタメ界における潜在的な課題も見えてくるという。韓国では魅力や強みが異なるフレッシュな人材が次々と登場する一方、日本のエンタメ界は「好感度の高い同じ俳優で回す」傾向が強い側面があるとの指摘だ。特に、俳優同士のケミストリーや視聴者を惹きつける演技力が求められるラブストーリーの分野で、人材不足が顕著になっているという。
佐藤健へのオファー集中と適任俳優の不足
佐藤健は、2020年のドラマ『恋はつづくよどこまでも』以降、『First Love 初恋』(Netflix)、『100万回言えばよかった』(TBS系)、今作、そして配信予定の『グラスハート』(Netflix)など、恋愛要素が絡む作品に立て続けに出演している。今回の『私の夫と結婚して』でも佐藤健にぴったりのクールな御曹司役であり、「また佐藤健に恋する日々だわ」「御曹司の佐藤健ヤバい また私の中で健ブーム来そう」と女性視聴者を魅了している。
多くの女性視聴者を魅了する俳優 佐藤健
しかしこれは、裏を返せば、彼以外にこの種の役柄に「他に適任がいない」状況を示唆している。松坂桃李や岡田将生など演技力とルックスを兼ね備えた30代中盤の俳優は他にも存在するが、自己投影しやすい純粋なラブストーリーにおいては、なるべく独身の俳優に演じてほしいと考える視聴者が多い可能性が指摘されている。また、吉沢亮や横浜流星のように、若いうちから社会派作品などを好む俳優が増えていることも、ラブストーリーを得意とする佐藤健にオファーが集中する一因と考えられる。
深刻さを増す日本の「ラブスト俳優」不足は、エンタメ力の底上げのためにも、佐藤健に続く新たなスターの登場が待たれる状況だと言える。
参考資料:
ピンズバNEWS編集部
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