福岡県出身の中村哲医師(73)は、江戸時代に完成した同県朝倉市を流れる筑後川の「山田堰」を参考に、アフガニスタンでのかんがい事業を進めていた。十数年前から熱心に足を運ぶ姿に感銘を受け、助言をしてきた山田堰土地改良区の徳永哲也元理事長(72)は死去の知らせに「うそだ、信じたくない」と声をうわずらせた。
徳永さんは中村氏と同じ学年で、「頼り頼られる存在」だった。今年4月にはアフガニスタンに招待され、完成したかんがい施設を見学。11月に中村氏が帰国した際も福岡市内で会い「これからもサポートしていきたい」と伝えたばかりだった。
土地改良区の職員田中真子さん(56)は「偉い人なのに気さくでいつもにこにこしていた。小柄な人でどこにそんなパワーがあるのかと不思議なくらいだった」と振り返った。