連続テレビ小説「あんぱん」第105話:今田美桜演じるのぶ、胸の内を吐露 「何者にもなれなかった」不妊への葛藤と視聴者の反響

NHK連続テレビ小説「あんぱん」は22日に第105話が放送され、主人公のぶ(今田美桜)と夫・嵩(北村匠海)の間に横たわる深い心の葛藤が描かれました。特に、のぶが抱える「何者にもなれなかった」という挫折感と、これまで明かされることのなかった「子を授かることへの悩み」が明らかになり、視聴者からは驚きと共感の声が多数寄せられています。

のぶと嵩が別居生活を続ける中、嵩の名の由来を知ったのぶは一人で山へ向かい、自分自身と向き合います。一方、嵩は久しぶりに漫画を描き始め、のぶの言葉を胸に創作活動に没頭。長らくすれ違っていた二人の関係に、新たな局面が訪れるかと思われました。

のぶと嵩、深まる心の葛藤と向き合い

山から帰宅したのぶは、嵩に胸の内を語り始めます。かつて父親から「おなごも遠慮せんと、大志を抱け」と教えられ、教師、代議士の秘書、会社勤めと、必死に駆け抜けてきた人生を振り返ります。しかし、彼女の口から出たのは「でも…。うちは何者にもなれんかった。教師も、代議士の秘書も、会社勤めも。何一つ、やり遂げれんかった」という痛ましい言葉でした。

その上で、のぶは「嵩さんの赤ちゃんを産むこともできんかった。嵩さんは子どもが欲しかったやろうに。うちは…」と、これまで表に出してこなかった深い悲しみを涙ながらに吐露しました。自己の存在意義や女性としての役割に対する複雑な感情が、視聴者の心に強く響く場面となりました。

連続テレビ小説「あんぱん」第105話でのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)が心を通わせる感動的な場面連続テレビ小説「あんぱん」第105話でのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)が心を通わせる感動的な場面

嵩からの温かい励ましと夫婦の絆

のぶの告白に対し、嵩は優しく彼女の手を握り「そんなこと、誰のせいでもないよ」「僕たち夫婦は、これでいいんだよ」と語りかけます。しかし、のぶの涙は止まらず、「けんど…。けんど、時々思うがよ。うちは、何のために生まれてきたがやろう、って。精いっぱい頑張ったつもりやったけど、何者にもなれんかった。そんな自分が情けなくて。世の中に忘れられたような、置き去りにされたような気持ちになるがよ」と、自身の不甲斐なさや孤立感を訴えました。

そんなのぶを、嵩は「のぶちゃんはずっと誰かのために走ってた。いつもいつも全速力で。のぶちゃんがいなかったら、今の僕はいないよ。のぶちゃんは、そのままで、最高だよ」と、温かい言葉で包み込みます。この場面は、自己肯定感に苦しむのぶと、それを全身で受け止め、無条件の愛を注ぐ嵩との夫婦の絆を深く描いており、多くの視聴者を感動させました。

視聴者の間に広がる驚きと共感の声

今回の放送を受け、インターネット上では大きな反響が巻き起こりました。特に、のぶが子どもを授かれないことへの葛藤を明かした点について、多くの視聴者が驚きを隠せませんでした。

「子どものことをどう考えてるかの描写ってあったっけ?突然すぎて」「のぶも嵩も子どもを望むような描写は…一度も…」「子ども好き設定ののぶが、子どもがいないことに関しての葛藤は今まで全く触れなかったし悩んでる様子も無かったから」といった声が相次ぎ、「子どもを作ることなんて考えてないかと思ってたよ」「子どもは敢えてかと思ってた、それはつらいね」と、予想外の展開に戸惑う意見が見られました。

一方で、のぶの苦悩に寄り添い、共感する声も多く上がっています。「子ども授からないことをのぶは気にしてたのか⋯私はてっきりお金がちゃんと安定してるわけじゃないから2人で授からない選択をしてたのかと思ってた」「やっぱり子どもの話出てきたね。セリフは今までなかったけど、嵩ものぶもそのこと本当は気にしていたんだよね」「不妊はやっぱり気にしてたのか」といった意見に加え、「のぶ、しんどい。当時だと不妊は治療法もほとんどなく周りも理解がなくつらいだろうなあ」「そうそう、不妊治療なんてなかったこの時代には、どちらが原因かなんてわからないから。でも妻は自分のせいだろうと思っただろうし、世間もそう見ただろうな」「嵩が不妊だったかもしれないし、のぶちゃんだけのせいじゃないよ」と、当時の社会状況と照らし合わせ、のぶの心情を深く慮るコメントも寄せられています。

また、一部の熱心なファンからは、「不妊を気にしてるのかな?という描写はチラッとあったよ。メイコの妊娠の時とか、姪っ子を見つめる目とかね」「健メイの子に接する嵩を見るのぶちゃんの表情から薄々察してたけど、やっぱり子供欲しかったのかのぶちゃん」といった、以前の放送回における描写から、のぶの秘めたる思いを推測していたという意見もありました。

まとめ

第105話では、のぶが抱える「何者にもなれなかった」という自己否定感と、子どもを授かれないことへの深い悲しみが、嵩との感動的な対話を通じて描かれました。これは、当時の女性が直面していた社会的な期待や個人的な葛藤、そして夫婦の絆のあり方を浮き彫りにする重要なエピソードとなりました。視聴者の間には、この予期せぬ告白に対する驚きと、のぶの心境への深い共感が広がっています。

「あんぱん」は、登場人物たちの内面を深く掘り下げながら、時代背景が織りなす普遍的なテーマを描き続けています。のぶと嵩がこの困難をどのように乗り越え、夫婦としての道を歩んでいくのか、今後の展開に注目が集まります。

参考資料:

  • 報知新聞社 (記事元: Yahoo!ニュース)