韓国の人気男性アイドルグループ「NCT」の元メンバーであるムン・テイル被告(30)を含む3人に対し、ソウル中央地裁は2024年7月10日、性暴力犯罪の処罰などに関する特例法違反(特殊準強姦)の罪でそれぞれ懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡し、法廷で直ちに拘束した。
判決の概要
ソウル中央地裁で言い渡された判決は、ムン・テイル被告ら3人が泥酔状態にあった外国人女性観光客に性的暴行を加えたという重大な事件に対するものである。裁判所は彼ら全員に対し、懲役3年6カ月という厳しい実刑判決を下し、刑の執行を確実にするため、その場で被告らを拘束した。この判決は、性犯罪、特に立場の弱い被害者を狙った犯罪に対する韓国司法の厳しい姿勢を示すものと言える。
事件の詳細
事件は2024年6月13日午前4時頃に発生した。場所はソウル市瑞草区にある共犯者の自宅である。被害者は中国国籍の女性で、事件発生時、泥酔して意識がはっきりしない状態であった。ムン・テイル被告を含む3人は、この女性の心神喪失状態に乗じて性的暴行を行ったとされる。犯行後、彼らは事件の発覚を避けるためか、女性を目立たない場所まで移動させ、タクシーに乗せて帰した。現地警察は、事件後、関係者への聞き込み調査や防犯カメラの映像解析などを綿密に行い、容疑者である3人を特定し、逮捕に至った。
裁判所の判断と被告の陳述
裁判所は判決理由の中で、今回の事件の罪質を「非常に悪質」と断じた。特に、被害者が外国人観光客であり、見知らぬ土地での旅行中にこのような重大な被害を受けたことから、「深刻な精神的苦痛を受けたことが推察される」と指摘し、被害者の立場や精神的影響を重視した判断を示した。ムン・テイル被告は最終陳述において、「被害者に甚大な被害を与えたことを深く反省しており、期待を裏切ったすべての方々に申し訳ない」と述べ、被害者と関係者に対して謝罪の意を表明した。
ムン・テイル氏の経歴と所属事務所の対応
ムン・テイル被告は2016年4月にNCTの派生ユニットである「NCT U」としてデビューし、その後は別の主要ユニット「NCT 127」のメンバーとしても活動していた。彼はその歌唱力で知られ、グループ内でも重要な役割を担っていた。しかし、2024年に今回の性犯罪疑惑が浮上したことにより、状況は一変した。所属事務所であるSMエンターテインメントは、疑惑が報じられた後の2024年10月に、ムン・テイル被告との専属契約を解除する決定を下した。これは、所属アーティストの不祥事に対する厳しい姿勢を示す対応となった。
韓国で性犯罪の罪に問われたNCT元メンバー、ムン・テイル被告の肖像写真
まとめ
今回の判決は、韓国で人気を博したアイドルグループの元メンバーが、外国人観光客に対する悪質な性犯罪で実刑判決を受け、即座に拘束されたという衝撃的な事件の結末である。裁判所は罪質の悪質性、被害者の受けた精神的苦痛を重く見ており、被告の反省や謝罪も実刑判決を覆すには至らなかった。この事件は、国内外に大きな影響を与え、今後のエンターテインメント業界における倫理や管理体制についても問いかけるものとなった。
出典
KOREA WAVE/AFPBB News