【北京時事】中国が、日本との懸案解決に乗り出している。
習近平政権は、トランプ米政権との対立激化を背景に対日関係については安定化させたい考え。日本側の要望に応えることで、引き付ける狙いとみられる。
11日に行われた大阪・関西万博の中国の「ナショナルデー」の式典出席のため訪日した何立峰副首相は、経済分野を担当し米中交渉も取り仕切る。習政権としては、実務を担う何氏を派遣し経済協力に前向きな姿勢を示した形だ。
背景には、トランプ政権との対立がある。米中は高関税の引き下げで合意したものの、交渉妥結には至っていない。中国は経済への打撃緩和のため、日本などから投資を呼び込み景気を下支えしたい意向だ。
中国の王毅共産党政治局員兼外相は10日のマレーシアでの岩屋毅外相との会談で、「中国の対日政策は安定性と継続性を維持している」と主張。予測不能なトランプ政権との違いを強調し、米国と厳しい関税交渉を強いられている日本に秋波を送った。
習政権は石破茂政権の歴史問題に対する姿勢などを評価しており、参院選後も政権の継続を望んでいるもようだ。6月の水産物に続き、与党側に参院選でのアピール材料を提供した形にもなっている。
一方、日本周辺では中国軍機による自衛隊機への異常接近が相次ぐほか、中国は東シナ海で一方的な資源開発も続けているとみられる。習政権は領土問題や安全保障分野では圧力を強めており、日中関係は依然、緊張をはらんだままだ。