米国勢調査局が新たに公表したデータは、大学で取得した学位の種類によって卒業後の年収に大きな違いがある実態と、そこに見られる男女間の収入格差を浮き彫りにしています。特に高等教育費が高騰する今日、どの学位が高収入につながりやすいかを知ることは、大学進学を検討する人々にとって重要な判断材料の一つとなります。今回の調査結果は、変動の激しい労働市場における経済的格差の側面も示唆しています。需要の高い工学分野などが高い給与水準を示す一方で、それ以外の分野では控えめな傾向が見られます。こうした賃金格差は、労働市場における人材の過不足にも影響を与える可能性があります。
科学技術系学位が示す高収入の傾向
米国の学士号取得者の中で、科学技術系の分野は総じて卒業後の収入が高い傾向にあります。最新のデータによると、現在最も高収入を得ているのは電気工学の学位取得者で、年収の中央値は12万1600ドルです。対照的に、最も収入が低いのは生活科学の学位取得者で、推定年収は5万2850ドルにとどまっています。米国勢調査局は、25歳から64歳までの学士号取得者の年収中央値を追跡調査しており、その基準となる中央値は7万4150ドルです。この基準との比較から、特定の学位が卒業後により高い収入をもたらす可能性が示されています。
男女間の収入格差の実態
今回の報告書は、学位取得者全体における年収中央値の男女格差も明らかにしました。男性の推定年収が8万9300ドルであるのに対して、女性は6万3230ドルと、顕著な差が見られます。この格差は、社会的なバイアスやキャリアの選択、働き方の違いなど、複合的な理由によるものだと複数の調査が指摘しており、ほぼ全ての学位分野において存在します。特に「その他の科学技術系学位」のカテゴリーでは格差が最も大きく、女性の年収中央値は男性のわずか70.8%でした。
米国における学位別の年収を示すグラフと、男女間の収入格差の概念図
高収入につながる学位ランキング上位
電気工学に続いて高収入だった学位は「コンピュータサイエンス」で、次いで「機械工学」が3位にランクインしています。これらの結果は、現在の労働市場において特定の技術分野の専門知識が高い経済的価値を持つことを示唆しています。学位の選択は個人の興味や適性に基づくものですが、こうした収入データを参考にすることで、将来のキャリアパスをより具体的に描く一助となるでしょう。
まとめ
米国勢調査局の最新データは、学位による卒業後の年収差、特に科学技術系分野の優位性、そして普遍的な男女間の収入格差という二つの重要な側面を明らかにしました。電気工学、コンピュータサイエンス、機械工学といった分野が高い年収中央値を示し、一方で生活科学などは比較的低い水準にあります。また、学士号取得者全体で男性が女性よりも高い年収を得ており、この格差は特定の分野でより顕著でした。これらのデータは、将来の学業やキャリア選択を考える上で、経済的な観点から貴重な情報源となります。