ピュー調査で見る:トランプ政権下のアメリカ、世界での好感度と複雑な評価

ピュー・リサーチ・センターが実施した最新の世論調査によると、トランプ政権下におけるアメリカへの世界的な好感度は複雑な状況にあることが明らかになりました。多くの主要同盟国で評価が低下する一方、一部の国では上昇するなど、その傾向は二極化しています。この調査は、アメリカを除く24カ国の成人2万8000人以上を対象に行われ、トランプ大統領のリーダーシップに対する国際的な意識の多様性を示しています。

各国で分かれるアメリカへの評価

調査結果によると、アメリカの主要同盟国であるフランス、英国、ドイツ、韓国、日本などでは、トランプ氏の国際情勢への対応に過半数が否定的な見解を示しました。一方で、インドやイスラエルのように肯定的な意見が多数を占める国もありました。全体として、調査対象24カ国のうち19カ国でアメリカへの好感度が低下し、特にメキシコ、スウェーデン、ポーランド、カナダでは20ポイント以上の大幅な減少が見られました。好感度が上昇したのは5カ国でした。

トランプ大統領個人への見方

個人的な印象について尋ねると、多くの回答者がトランプ氏を「傲慢」(80%)、「危険」(65%)と評価する一方、「正直」と答えたのはわずか28%でした。しかし、18カ国では過半数が彼を「強いリーダー」とも認識していました。

「世界のリーダー」としての信頼性

「世界のリーダーとしてトランプ氏を信頼できるか」という問いに対しては、24カ国中19カ国で「あまり信頼できない」「全く信頼できない」という否定的な回答が過半数を占めました。肯定的な回答(「多少信頼できる」「とても信頼できる」)が最低だったのはメキシコの8%で、カナダも22%にとどまりました。対照的に、ナイジェリアでは79%、ケニアでは64%が肯定的な回答を示し、アフリカの主要経済国で高い信頼が見られました。アフリカ以外では、イスラエル(69%)、インド(52%)、ヨーロッパではハンガリー(53%)で過半数が肯定的な見解を示しました。

ピュー調査で明らかになったトランプ大統領への国際的な評価を示す写真ピュー調査で明らかになったトランプ大統領への国際的な評価を示す写真

評価を左右する要因と「アメリカ・ファースト」

ピュー・リサーチ・センターは、トランプ氏への見解が多くの国でイデオロギーや政治的立場によって大きく異なると指摘しています。特に、自らを右派と認識する人々や、ヨーロッパにおける右派ポピュリズム政党に好意的な人々は、トランプ氏をより肯定的に見る傾向が強いと分析しています。また、ホワイトハウス報道官(当時)のスティーブン・チャン氏は、「トランプ大統領はアメリカ国民のために働くことを最優先している」とし、「圧倒的多数のアメリカ人が『アメリカ・ファースト』政策を支持している」と述べていました。

このピュー調査は、トランプ政権下の世界におけるアメリカへの評価が多様であり、特に主要同盟国では厳しい見方がある一方、一部の国では好意的な見方も存在するという複雑な実態を浮き彫りにしました。調査は当時のイラン攻撃以前に行われましたが、今後の情勢が世論に影響を与える可能性はあります。しかし、「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ政権にとって、国際世論調査の結果が政策決定に直接的な大きな影響を与える可能性は低いと考えられます。

出典: ピュー・リサーチ・センター、Newsweek Japan