「水と空気から軽油」大阪・泉大津市長の投稿が物議 実証主体企業は特許理由に説明避ける


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「泉大津市において、合成燃料製造装置の可動式と実演会を行いました。水と空気から光の力で、45分間で約20リットルの軽油ができました」(原文ママ)

南出市長が6日、こう投稿すると、Xの利用者からは20リットルの軽油を生成するには、「理論上、3LDKのマンション約340室分の空気が必要」などとの指摘が相次いだ。南出市長が公開した動画では、本来は無色透明の軽油が黄緑色で、ガソリンなどと区別するために着色されている市販品ではないかと疑う声も出ている。

■「市販の軽油と混ざって着色」

泉大津市の実証で使用されている設備はコンテナ1台分の簡素な装置で、仮に軽油の精製に成功していれば、画期的な技術革新につながることは間違いない。市の成長戦略課によると、軽油を種油とし、空気中の二酸化炭素と水に特殊な光を当てると軽油が増量する化学反応が起こるという。市の担当者は「種油には市販の軽油を使用していて、着色がもともとあって、混ざっていると認識している」と説明した。

実証の中心となっているのは、サステイナブルエネルギー開発(仙台市青葉区)。同社は「軽油を種油とした実証運転で、炭化水素分が一定割合増加する現象を確認している」と主張。日本産業規格(JIS)や「揮発油等の品質の確保等に関する法律」に定める軽油の規格を満たしているという。ただ、これまでの成果などについては「検証中」と詳細な説明を避け、検証を依頼した研究者の所属や氏名も「特許出願で指導を受けている立場でもあり、機微情報の保全上、現段階で氏名を公表するのは控える」とした。

泉大津市は昨年、大阪府和泉市のティー・エヌ・プランと人工石油製造などの実証実験を行う包括連携協定を締結した。協定に基づき、ティー・エヌ・プランとサステイナブルエネルギー開発とともに実証実験を実施した。ティー・エヌ・プランは水と大気中の二酸化炭素から生成した合成燃料で発電する装置を研究・開発しているとして、2025年大阪・関西万博に発電システムを提供すると発表している。



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