冷風サーキュレーターの「1秒で涼しい」ニセ広告が横行 粗悪品被害の実態

SNSやYouTubeなどでよく見かける冷風サーキュレーターの広告。電源を入れた瞬間に冷たい風が出て、部屋全体を涼しくすると謳うこれらの広告は、果たして本当なのでしょうか。今、こうした冷風サーキュレーターのニセ広告を巡る詐欺被害の訴えが急増しています。広告とは全く異なる粗悪品が届くケースが相次いでおり、その悪質な実態に迫ります。

巧妙な「冷える」アピールと信用させる仕掛け

取材班が話を聞いたある女性は、梅雨明けの暑さに悩まされ、YouTubeで目にした冷風サーキュレーターの広告に引き付けられました。広告は、「エアコンよりも快適」で「吹き出す白い煙」のような強烈な風量をアピール。自動で上下左右に動き、広範囲に冷気を送る様子が映されていました。さらに「1秒で部屋の温度を下げる!」「室温が20度ダウン」「20mまで送風可能」といった魅力的な言葉が並び、価格はおよそ6000円と手頃でした。女性は、広告に「ヤマダ電機」の名前や「省エネ大賞受賞」のロゴが表示されていたことから、信頼できる商品だと思い込み、購入を決めました。これらの巧妙な表現と有名企業名を騙る手口が、消費者を信用させる仕掛けとなっていました。

届いた現物:広告と別物、首も回らない粗悪な「扇風機」

広告に掲載された冷風サーキュレーターの画像:1秒で冷える等の虚偽表示広告に掲載された冷風サーキュレーターの画像:1秒で冷える等の虚偽表示

しかし、実際に届いたのは広告とは似ても似つかぬ粗悪品でした。中国製で非常に軽く、中身がスカスカに感じられる商品です。リモコンは付属せず、USBケーブルで使用するタイプ。広告で謳われていた360度や左右への「首振り」機能はなく、上下にわずかに動かせるだけでした。女性は「回らない、これだけ…しかも上下にってどういうことみたいな。やられたぞー」と落胆の色を隠せません。期待していた風量も弱く、「風来るなーくらい」のレベル。広告の「1秒で部屋の温度が下がる」「20m先まで風が届く」といった誇大な性能とは程遠いものでした。

被害者の落胆と泣き寝入りせざるを得ない状況

届いた商品が広告と全く違う粗悪品であったため、女性は業者に問い合わせようとしましたが、連絡がつきませんでした。結果として返金もされず、泣き寝入りせざるを得ない状況に陥っています。女性は当時の心境を振り返り、「冷静になれば確かに『そんなはずないやん!』って思うんですけど、その時はとにかく暑さをどうにかしたい思いしかなかなったんで、ショックですよ〜。やっぱり」と語りました。目の前の悩みをすぐに解決したいという焦りが、冷静な判断を鈍らせ、ニセ広告による詐欺被害につながってしまったのです。

ネット上の冷風サーキュレーター広告には、実際の商品とはかけ離れた誇大な表現が多く含まれています。安価で高性能を謳う製品や、有名企業・賞の名前を騙る広告には十分な注意が必要です。詐欺被害に遭わないためにも、購入前に販売元や商品のレビューなどを慎重に確認することが重要ですし、過度に魅力的な謳い文句には疑いの目を持つことが賢明です。

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