参政党、TBS「報道特集」偏向報道巡りBPOへ正式申立て

参政党は14日、公式サイトを通じ、12日に放送されたTBS系「報道特集」の内容に対する抗議および訂正要求について、同番組側から受け取った回答を公表しました。この回答を受け、同党は放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に対し、正式な申立てを行うことを報告しました。今回の件は、参院選を控える中でのメディア報道の公平性、中立性が問われる事態となっています。

報道特集への申入れとその理由

参政党は前日の13日、「TBSテレビ『報道特集』に対する申入れのお知らせ」と題する声明を発表していました。声明では、12日の「報道特集」について、「選挙報道として著しく公平性・中立性を欠く内容」が放送されたと指摘。番組の構成、表現、登場人物の選定などが放送倫理に反するとして、TBSに対し厳重に抗議し、訂正などを求める申入書を提出したことを明らかにしました。同党は、当該放送内容を「偏向報道」であると強く主張しています。

TBS側の回答とその内容

参政党が公表したTBS側からの回答によれば、同番組側は今回の特集について以下のように説明しています。「今回の特集は、参政党が支持を伸ばす中、各党も次々と外国人を対象とした政策や公約を打ち出し、参院選の争点に急浮上していることを踏まえ、排外主義の高まりへの懸念が強まっていることを、客観的な統計も示しながら、様々な当事者や人権問題に取り組む団体や専門家などの声を中心に問題提起したものです」。また、「この報道には、有権者に判断材料を示すという高い公共性、公益性があると考えております」と、番組の正当性を主張しています。

参政党代表の神谷宗幣氏参政党代表の神谷宗幣氏

参政党の見解とBPOへの申立て決定

参政党はTBSからの回答に対し、「構成の公正性や取材姿勢の偏りといった本質的な問題点には一切触れない回答が寄せられました」との見解を示しました。同党は、TBSの対応が極めて遺憾であるとし、「こうした対応により、当党と放送事業者との間で、BPO放送人権委員会の申立要件にあたる『相容れない状況』が生じたと判断」したと述べています。このため、両者間での合意形成が困難であると判断し、正式にBPO放送人権委員会へ判断を委ねる手続きを進めることとなりました。

問題となった放送の具体的な内容

参政党が問題視している12日の「報道特集」は、「争点に急浮上“外国人政策”に不安の声」と題された特集でした。番組では、「日本人ファースト」を掲げ支持を拡大している参政党を取り上げ、神谷宗幣代表の演説映像と共に「“外国人が優遇されている”などと訴え、犯罪や生活保護について強硬な主張を繰り返す」とナレーションを流しました。さらに、外国人差別に詳しい識者のコメントとして、「日本人ファースト」という言葉が差別を助長しているとし、「『日本人ファースト』が支持層に対して排外主義、ヘイトスピーチをあおる効果、これは言っている側も分かってないわけない」と伝えました。また、人権問題に取り組む8団体が発表した緊急共同声明を取り上げ、「各党が排外主義的な政策を競い合っている」「外国人が優遇されているのは根拠のないデマ」と訴えていることも報道していました。参政党はこれらの内容が、党に対する一方的な評価であり、偏向したものであると主張しています。

結論

今回の参政党によるTBS「報道特集」に対するBPO申立ては、選挙期間におけるメディアの報道姿勢、特に特定の政党の主張や政策の取り扱いを巡る対立として注目されています。BPO放送人権委員会がこの申立てをどのように受け止め、どのような判断を下すのかが今後の焦点となります。これは、放送の自由と報道の公平・中立性という重要なテーマについて、社会的な議論を喚起する事案と言えます。

情報源:Yahoo!ニュース