参院選で苦戦する自民党、元職員が語る「逆風」の正体

かつてない逆風の中、参議院選挙を戦う自民党・公明党連立政権は、過半数維持さえ危ぶまれる厳しい情勢に追い込まれています。この状況を、約40年にわたり自民党職員として選挙事務に携わった久米晃氏(現在は選挙・政治アドバイザー)が分析します。なぜ自民党は支持を失っているのか、そして選挙後の政局はどう展開するのか、久米氏の視点から探ります。

小泉効果は一過性、有権者は冷静

東京都議会議員選挙の前、小泉進次郎農林水産大臣による随意契約での備蓄米放出の動きが報じられ、一時的に内閣支持率や自民党支持率が持ち直したように見えました。しかし、都議選での自民党は21議席(追加公認含む)と惨敗し、内閣支持率も再び低下、参院選への逆風が強まっています。久米氏は、小泉氏の動きは確かに当初「小泉効果」として支持率を押し上げたが、その効果は2週間と持たず元に戻ったと指摘します。コメ問題の根本的な改革には至っておらず、有権者はその点を冷静に見抜いていたとしています。

久米晃氏がインタビューに応じる様子(元自民党選挙事務局長)久米晃氏がインタビューに応じる様子(元自民党選挙事務局長)

都議選の傾向が示す参院選の厳しさ

マスコミの情勢調査では、今回の参院選、特に東京選挙区では自民党の2議席目確保が困難と報じられています。同時に、参政党などの躍進も予想されており、これは都議選で見られた傾向の継続と見られています。久米氏は、都議選があった年の国政選挙は、都議選の結果とほぼ同じになることが多いと述べ、今回の都議選での自民党惨敗による逆風が、そのまま参院選に吹いている現状を強調しました。

自民党内の深い亀裂が未修復

このような状況下で、自民党内では石破茂首相や執行部に対する不満が公然と噴出し始めています。久米氏は、本来多様な思想を持つ政治家が集まる幅広い政党であった自民党に、現在は容易には修復できない深い亀裂が生じていると指摘します。昨年の総裁選以前から、清和会(旧安倍派)を中心とした勢力が石破氏を徹底的に攻撃してきた溝が、現在も埋まらないまま推移しています。野党よりも自民党内の方が石破氏への攻撃が目立ち、「石破降ろし」を狙う勢力が参院選での失敗を望んでいる側面さえあると分析しています。

支持者離れの原因は期待感の欠如

自民党の支持者離れが止まらない根本的な原因はどこにあるのか。久米氏は、心理的な要素が非常に大きいと考えを示します。石破首相をはじめとする自民党幹部に対して、有権者が期待感を持てないことが背景にあると分析。個々の政策論ではなく、「この国をこういう風にしてくれる」という漠然とした期待感をリーダーの個性によって生み出すことができていない点が、支持率低迷に繋がっていると結論付けています。

選挙戦の行方は依然として不透明ですが、久米氏の分析からは、自民党が直面する構造的な問題と、リーダーシップへの期待感の欠如が、現在の逆風の根源にあることが読み取れます。

出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/275b153d2b1e97dc781eb98d803df4132a9690f0