年収600万円で大手航空会社は贅沢?ANAやJALに年1回乗るための必要年収を解説

年収600万円という金額は、平均と比較すると高めの水準に感じられるかもしれません。しかし、現実には「ANAやJALといった大手航空会社での旅行は贅沢品で、年に一度も利用する余裕がない」と感じる人も少なくありません。その背景には、手取り額のギャップや、税金、社会保険料、固定費など多岐にわたる支出が大きく影響しています。

この記事では、なぜ年収600万円あっても大手航空会社の利用にハードルを感じるのかを深掘りし、さらに年に一度、大手航空会社を利用した旅行を無理なく楽しむために、実際にはどのくらいの年収が必要になるのかを具体的に考察します。

年収600万円で大手航空会社利用が難しい理由

年収600万円と聞くと、多くの人が「十分な収入がある」という印象を持つかもしれません。しかし、実際に手元に残る「手取り額」は、想像よりも少ないのが現実です。所得税、住民税、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険など)が差し引かれると、年収600万円の場合、手取りは年間で約450万円から510万円程度になると言われています。月額に換算すると、およそ38万円から43万円です。

この手取り額の中から、住居費(家賃や住宅ローン)、光熱費、通信費、食費といった日々の生活費に加え、生命保険料や車の維持費などの「固定費」を捻出する必要があります。例えば、家賃が月10万円から15万円を占める場合、残る金額は限られ、計画的な貯蓄や趣味・娯楽に回せる余裕は少なくなりがちです。

もちろん、単身者で生活費を抑えている場合や、明確な目標を持って旅行費用を積み立てているケースでは、年収600万円でも年に一度の航空会社利用は十分に可能です。しかし、家族を養い、住宅ローンや子どもの教育費といった大きな固定費がかかっている世帯では、たとえ年収600万円であっても、ANAやJALの航空券代にまとまった金額を割くのが難しいと感じる状況は少なくありません。

大手航空会社を年1回利用するために必要な年収は?

ANAやJALといった大手航空会社を利用した旅行費用は、行き先や時期によって大きく変動します。例えば、国内線の場合、通常期の往復運賃は5万円から6万円程度が目安ですが、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの繁忙期には8万円を超えることも珍しくありません。これに加えて、空港までの交通費、宿泊費、現地での食費や交通費などを考慮すると、旅行スタイルや同行者の人数によっては、総額で15万円から20万円程度の出費になることもあります。

このような旅行費用を無理なく捻出できる年収について考えてみましょう。もし旅行費用を手取り額の5%程度に抑えたいと仮定すると、年間で15万円から20万円の旅行費用を賄うには、約300万円から400万円の可処分所得(手取り額)があれば、年に一度の旅行が視野に入ってきます。これは、税金や社会保険料を考慮すると、年収換算で約500万円から600万円前後に相当するラインです。つまり、年収600万円であれば、個人のライフスタイルや家計の状況次第で十分に大手航空会社を利用した旅行を楽しめる可能性があります。

しかし、前述の通り、家族構成が複雑であったり、住宅ローンや教育費など毎月の支出における固定費の割合が大きかったりする場合には、年収600万円でも、大手航空会社の航空券代を捻出するのが困難だと感じることもあります。もし、年間の旅行費用約20万円を手取りの3%以下に抑えたいと考えるならば、可処分所得は700万円前後が必要となる計算です。これは年収に換算すると、おおよそ900万円程度に相当します。

空港の窓から離陸する飛行機を眺める人物の横顔。年収と大手航空会社の利用頻度について考察するイメージ。空港の窓から離陸する飛行機を眺める人物の横顔。年収と大手航空会社の利用頻度について考察するイメージ。

まとめ

年収600万円は決して低い収入ではありませんが、税金や社会保険料、さらに生活にかかる固定費を差し引いた手取り額を考慮すると、日々の家計に余裕がないと感じる人も少なくありません。大手航空会社を利用した年に一度の旅行を楽しむためには、家族構成やライフスタイルによって必要な年収は大きく変動します。

可処分所得に対して旅行費用が占める割合をどのように設定するかによっても、必要な年収額は変わってきます。年収600万円でも、計画的な貯蓄や支出の見直しによって十分旅行を楽しむことは可能ですし、よりゆとりを持って大手航空会社を利用するには、年収900万円程度が目安となるケースもあるでしょう。自身の家計状況を把握し、優先順位を明確にすることが、旅行と日々の生活のバランスを保つ鍵となります。


参考文献: