【専門医が解説】「耳たぶのシワ」は心筋梗塞・脳梗塞のサイン?動脈硬化の見た目による早期発見法

長年、総合健診センター長を務めてきた東丸貴信医師は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高い人に「見た目でわかるサイン」が存在すると指摘します。血管の健康状態は血液検査や画像診断が最も正確であるものの、日常で気づける手がかりも存在します。本記事では、特に「耳たぶのシワ」に焦点を当て、血管の老化、すなわち動脈硬化と心血管疾患発症リスクとの関係について、専門医の見解を解説します。

「耳たぶのシワ」に潜む動脈硬化のサイン

東丸医師は、「耳たぶに斜めに深くシワがある人は心血管疾患発症のリスクが高い」という報告があることを指摘します(※1)。加齢で肌にシワが増えたり、髪が白くなったりするように、血管も弾力を失い、動脈が硬くもろくなる「動脈硬化」へと進行します。この耳たぶのシワは、耳たぶの毛細血管への血流不足が関連し、血管の老化が密接に関連している可能性が示唆されています。

心筋梗塞や脳梗塞のリスクと関連するとされる耳たぶのシワのイメージ。動脈硬化のサインとして専門家が指摘する。心筋梗塞や脳梗塞のリスクと関連するとされる耳たぶのシワのイメージ。動脈硬化のサインとして専門家が指摘する。

動脈硬化が心筋梗塞・脳梗塞を引き起こすメカニズム

動脈硬化が進むと、血管の内壁が傷つきやすくなり、そこに血栓(血液の塊)ができやすくなります。この血栓が詰まることで、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気を生じやすくなります。その仕組みは以下の通りです。

  1. 血管への負担の蓄積: 塩分、脂質、糖分の過剰摂取、喫煙、運動不足といった生活習慣が血管に継続的な負担をかけ、血管内壁の内皮細胞などの組織が損傷を受けます。
  2. プラークの形成: 血液中の悪玉(LDL)コレステロールが増加すると、損傷した血管の内側を覆う内皮細胞層の下に入り込み、酸化変性して脂の塊(粥腫=プラーク)を形成します。プラークが成長すると血管の内腔が狭まり、血流が滞りがちになります。
  3. 血栓による血流途絶: 進行したプラークは破裂しやすく、その破れた部分に血栓が形成されます。この血栓が血管を完全に詰まらせると、脳の血管であれば脳梗塞、心臓に血液を送る冠動脈であれば、一時的な血流減少は狭心症、完全に途絶えれば心筋梗塞へと発展します。

「サイレントキラー」動脈硬化の早期発見の重要性

動脈硬化は、自覚症状がないまま進行し、「サイレントキラー」とも呼ばれます。痛みや不快感を伴わないため、気づいた時には既に深刻な状態に陥っているケースが少なくありません。耳たぶのシワのような「見た目のサイン」は、こうした隠れた危険に気づくための重要な手がかりとなり得ます。

東丸医師の解説から、耳たぶのシワが動脈硬化の重要な「見た目のサイン」であることが分かりました。自覚症状がない病気ゆえに、日々の体の変化に注意を払い、定期的な健康診断の受診が重要です。早期の気づきと適切な対策こそが、心筋梗塞や脳梗塞から身を守る鍵となるでしょう。

参考文献