俳優の段田安則(68)が、テレビ朝日系の長寿番組「徹子の部屋」にゲスト出演し、103歳になる母親との心温まるエピソードを語った。自身の俳優としての道を歩む上で両親がいかに大きな影響を与えたか、そして現在の母親の状況について、率直な思いを明かした。この告白は、視聴者やファンに深い共感を呼んでいる。
俳優の道を選んだ息子への両親の理解
司会の黒柳徹子から、22歳で大学を中退し京都から上京して俳優を志したことについて、両親の反対はなかったかと尋ねられると、段田は両親が自身だけでなく兄弟全員に対しても「元気に好きなことをしてればいい」という方針だったと振り返った。「ちゃんと働けとか、ちゃんと学校行けとか、もっと勉強しろとか、あまり何にも言わない親でしたね」と語り、その寛大な教育方針が自身の選択を後押ししたことを示唆した。また、母親が段田の「徹子の部屋」出演を非常に喜んでいたことにも触れ、「初めて出る時というのは、みんな何か一つ認められたような」と、その時の母親の喜びを伝えた。
103歳の母がくれた「安心」と「奇跡の瞬間」
黒柳徹子から母親が現在103歳であることが紹介されると、段田は「103歳になりました。もう施設にはいるんです」と現在の状況を明かした。母親は残念ながら段田のことを「認識できないと言いますか。どこのおっちゃんが来たんだろうっていう顔して」と語り、会話も意味不明なことが多いという。しかし、段田はそんな母親の状態を「悲しい気もするんですけど、逆にうーんと楽と言いますか」と複雑な心境を吐露。「向こうが元気で、まあニコニコしてくれれば。もし分かって、安則いつ帰ってくんだろうなあ、会いたいなって言ってたらかわいそうな気がするんですけど」と述べ、母親が自分を認識できなくても、その状態が母親にとっての苦しみを軽減しているという考えを示した。
テレビ朝日「徹子の部屋」に出演した俳優の段田安則。
さらに、黒柳から母親が時々「安則」と口にすることがあると指摘されると、段田は「私がいる時には言うのを聞いたことないんですよ。姉とか兄がよく会いに行ってくれているんですけど。その時に、この間安則って言ってたよとか言って。ええと思って。だからたまにふっと言うみたいなんですよね」と語り、記憶が曖昧な中でもふとした瞬間に息子の名を呼ぶ母親の姿に、深い絆を感じている様子を覗かせた。
家族の絆と高齢化社会へのメッセージ
今回の段田安則の告白は、高齢化が進む日本社会において、多くの人々が高齢の親との向き合い方に悩む中で、一つの温かい視点を提供した。親の健康や記憶の衰えに直面しながらも、その中にある「安心」や「幸せ」を見出す段田の姿勢は、家族の絆の多様な形を教えてくれる。
参考資料
- スポーツニッポンアネックス. 段田安則、103歳になった母と面会「私のことは認識できない」現在の状況に吐露した本音「逆に楽」. 2025年7月16日放送.