日本政府は7月16日、今年1月から6月までの訪日外国人客数(推計値)が前年同期比21%増の2151万8100人に達したと発表しました。これにより、上半期としては初めて2000万人を突破し、年間で過去最多となる4000万人の突破も視野に入るハイペースな伸びを見せています。この記録的な数字は、歴史的な円安と2025年の大阪・関西万博への期待感が主な要因として挙げられます。
記録的な訪日客数の推移と国・地域別内訳
上半期の訪日外国人客数は、日本の観光産業にとって大きな節目となりました。6月単月で見ても、訪日客数は前年同月比7.6%増の337万7800人に上り、堅調な増加傾向が続いています。国・地域別の内訳では、韓国が478万人で最も多く、次いで中国が471万人、台湾が328万人、米国が170万人と続いています。アジア諸国からの訪問者が引き続き大半を占める一方で、米国からの訪問者も存在感を示しています。
インバウンド消費の動向:四半期・上半期ともに過去最高を更新
訪日外国人による消費額もまた、過去最高を更新しました。4月から6月までの消費額(1次速報)は前年同期比18%増の2兆5250億円となり、四半期ベースで過去最高を記録。上半期全体では累計4兆8053億円に達し、こちらも過去最高の水準となりました。
京都市東山区で和服を体験する訪日外国人観光客。日本の文化体験がインバウンド消費を牽引する一因となる光景。
国・地域別の消費額では、中国が5160億円と全体の約2割を占め、消費の主要な牽引役となっています。これに米国(3566億円)、台湾(2915億円)、韓国(2312億円)が続きます。費目別に見ると、宿泊費が9714億円で全体の38.5%を占め最も多く、次いで買い物代が6623億円(26.2%)、飲食費が5309億円(21%)となりました。
1人あたり消費額の変動と観光庁の戦略
1人当たりの支出額は平均23万9000円でした。最も高額な支出が見られたのは英国の44万4000円で、イタリアやドイツからの訪問者も約40万円を支出しており、欧米豪からの観光客が旅行単価の向上に貢献していることが示唆されます。一方で、中国からの訪問者は1人当たり24万8000円を支出したものの、前年同期比では12%減となりました。
観光庁の村田茂樹長官は7月16日の記者会見で、「地方での長期滞在を促進する施策を進めることが、今後の消費額拡大において重要になる」と述べ、都市部への集中だけでなく、地方への誘客と滞在期間の延長が持続的な観光振興の鍵となるとの見解を示しました。
まとめ
2024年上半期の訪日外国人客数および消費額は、いずれも過去最高の水準を更新し、日本の観光産業の力強い回復と経済への貢献を明確に示しました。円安の進行や国際的なイベントへの期待がこの成長を後押しする一方で、今後の持続的な発展のためには、単なる客数増加だけでなく、1人当たりの消費額向上と地方への波及が重要な課題となります。観光庁が掲げる地方での長期滞在促進の取り組みが、今後のインバウンド市場のさらなる活性化につながることが期待されます。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 訪日客、上半期初の2000万人突破 消費額も最高更新 円安が追い風