吉田修一氏原作の映画『国宝』が、興行収入50億円を突破する大ヒットを記録し、歌舞伎ファンの枠を超え、若い世代をも映画館へと引き込んでいます。この社会現象とも言える人気は、日本の伝統芸能である歌舞伎本体への関心を劇的に高める結果となり、歌舞伎座公演のチケット販売にもその影響が見て取れます。
映画『国宝』が歌舞伎座公演に影響を与え、若者も伝統芸能に関心を持つ様子。
映画『国宝』現象が伝統芸能へ与える影響
映画『国宝』の大成功は、歌舞伎興行にも明確な波及効果をもたらしています。松竹のオンライン鑑賞券販売サイト「チケットWeb松竹」では、ここ数週間で席種によっては完売する公演日が増加傾向にあります。筆者自身も『国宝』に深く感銘を受け、約10年ぶりに歌舞伎座での観劇に足を運びました。映画鑑賞後の視点で見ると、歌舞伎に対する意識や楽しみ方が以前とは全く異なっていることに気づかされました。
『国宝』が描く歌舞伎の世界と鑑賞への誘い
映画『国宝』は、華やかな歌舞伎の世界を美しく描き出す一方で、その裏に潜む伝統芸能界の閉鎖性や、血縁と才能を巡る壮絶な人間ドラマを軸に展開します。任侠一門に生まれた少年が上方歌舞伎の名門当主に引き取られ、血の繋がりを持つ息子との跡目争いを経て人間国宝となるまでの人生が描かれています。観客は、歌舞伎に人生の全てを捧げる彼らの生き様や、劇中劇として演じられる演目に触れることで、歌舞伎そのものへの深い興味を抱くようになります。伝統芸能へのハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが、実際に歌舞伎座に足を運ぶことは、映画館に行くのと同様に手軽です。
初めての歌舞伎観劇ガイド:チケット購入から価格まで
歌舞伎を初めて観劇する際も、その手続きは難しくありません。「チケットWeb松竹」で鑑賞劇場、演目、日時、席種、座席を選ぶだけで簡単にチケットが購入できます。例えば、松竹創業百三十周年『七月大歌舞伎』(7月5日~7月26日公演)のチケット代は、1階桟敷席や特等席が2万円、1等席が1万8000円、2等A席が1万5000円、2等B席が1万4000円、2等C席が9000円、3階A席が6500円、3階B席が5000円と、演目や席種によって幅広く設定されています。ぜひこの機会に、生の歌舞伎が持つ迫力と美しさを肌で感じてみてください。
結び
映画『国宝』の空前のヒットは、単なる映画の成功に留まらず、日本の誇るべき伝統芸能である歌舞伎への新たな橋渡しとなりました。この現象は、若い世代を含む幅広い層が歌舞伎という深遠な世界に触れる絶好の機会を提供しています。映画で描かれた熱い物語に触れた今だからこそ、歌舞伎座で生の舞台を体験し、その唯一無二の魅力と奥深さをぜひご自身の目で確かめてみてはいかがでしょうか。
参考文献:
- Yahoo!ニュース: 映画『国宝』、興行収入50億円突破!歌舞伎にも新風 (https://news.yahoo.co.jp/articles/918d6622feabbf1d86cde6e6e4f6015df4d53c40)