中国のスマートフォン大手である小米(シャオミ)は、初の電動SUV「YU7」シリーズの納車を7月6日から開始しました。北京市にある小米科技園で開催された納車式には、創業者の雷軍(レイ・ジュン)CEOも出席し、購入者と握手をして記念撮影に応じたほか、自ら車のドアを開けてオーナーを迎え入れる場面も見られました。この「YU7」は、シャオミが電気自動車市場に本格参入する戦略的モデルとして注目を集めています。
シャオミ創業者である雷軍CEOが、同社初の電動SUV「YU7」の納車式で顧客と握手する様子。
シャオミ初の電動SUV「YU7」が予約殺到、記録的なスタート
「YU7」シリーズは6月26日夜に予約販売が開始され、その反響は驚くべきものでした。モデル展開は、シングルモーター後輪駆動の「YU7」、デュアルモーター四輪駆動の「YU7 Pro」、そして「YU7 Max」の3種類です。価格帯は25万3500元から32万9900元(約510万円から660万円*)と設定されています。予約開始からわずか3分で受注台数は20万台を突破し、1時間後には28万9000台に達するなど、記録的なヒットとなりました。これは、シャオミが築き上げてきたブランド力と、市場が求めるEVのニーズが合致した結果と言えるでしょう。
シャオミが提供する3モデル展開の電動SUV「YU7」シリーズ。各モデルは後輪駆動と四輪駆動に対応。
長期化する納車期間:生産体制強化が喫緊の課題
しかし、この大ヒットの裏で、シャオミは生産体制の強化という大きな課題に直面しています。同社の自動車専用アプリによると、「YU7」の納車期間は、標準モデルで最長58〜61週間、Proモデルで51〜54週間、Maxモデルで39〜42週間と表示されており、モデルによっては1年以上待つ必要がある見込みです。YU7が参入する中型以上の電動SUV市場は競争が非常に激しいため、シャオミとしては、これ以上の受注流出を防ぐためにも、生産体制の早急な強化が不可欠な状況です。
生産能力の拡充へ:第2工場稼働と第3工場建設の動き
現在のところ、シャオミの全車両は北京市郊外の亦荘(イーチャン)にある第1工場で生産されています。この第1工場の年間生産能力は15万台です。2023年6月以降、シャオミは二交代制の導入やロボットの増設などを進め、生産能力の向上を図ってきました。現時点では、76秒に1台のペースで車両がラインオフしており、1日あたり約1000台を生産しているとされています。
さらに、生産体制の抜本的な強化に向けて、2025年6月中旬には同じ敷地内に年間15万台の生産能力を持つ第2工場が完成し、早ければ7月中にも稼働を開始する見込みです。また、「YU7」の発売直前には、約6億元(約120億円*)を投じて第2工場に隣接する約5万平方メートルの工業用地を取得しており、これは将来的な第3工場の建設を視野に入れた動きとみられています。これらの積極的な投資は、シャオミが電気自動車事業に懸ける本気度と、長期的な市場支配への意欲を示しています。
まとめ
シャオミ初の電動SUV「YU7」は、予約販売開始直後から記録的な受注を達成し、電気自動車市場におけるシャオミの存在感を強く印象付けました。しかし、その一方で長期化する納車期間は、顧客の期待に応え、激しい市場競争を勝ち抜く上で避けては通れない課題となっています。シャオミは、既存工場の生産効率向上に加え、新工場の建設を加速させることで、供給体制の拡充を急いでいます。今後の生産能力の推移が、シャオミのEV事業の成長を大きく左右する鍵となるでしょう。
参考資料:
- 36Kr Japan編集部
- Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/a69e4ac8dacc7e0c2130f84b473d67b853c5e0a8
*1元=約20円で計算しています。