日本への訪日外国人数の増加が止まらない。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年5月の訪日外国人数は前年同月比21.5%増の369万3300人に達し、単月として過去最高を記録した。これに伴い、財務省が7月8日に発表した5月の国際収支統計(速報)では、旅行収支の黒字額が5月として過去最大の6292億円に上るなど、インバウンド需要が日本経済に大きく貢献している状況が浮き彫りになっている。
しかし、この経済効果の裏で、訪日外国人によるマナー違反や迷惑行為が新たな社会問題として表面化している。特に、日本人女性に対する「ナンパ行為」は深刻化の一途をたどっており、観光地だけでなく日常的な場所でも、多くの女性が不快な経験を強いられている。日本人同士とは異なるコミュニケーションの取り方に戸惑い、精神的な苦痛を感じるケースも少なくない。実際に訪日外国人からナンパされた経験を持つ複数の女性たちから、その実態を聞いた。
コンビニでの強引な接触:Aさんの恐怖体験
IT企業に勤務する20代女性のAさんは、最近コンビニエンスストアでの買い物の最中に、訪日外国人からのナンパ被害に遭うことが増えたと語る。彼女は特に、その強引な態度に恐怖を感じたという。
「何気なく立ち寄ったコンビニで、外国人に声をかけられることが何度かありました。『カワイイ』『連絡先教えて』といった簡単な日本語でのアプローチです。中でも特に怖かったのは、欧米系の外国人観光客2人組のケースです。レジの列に並んでいると、彼らが缶チューハイを飲みながら『フレンド』『カワイイ』『乾杯』などと言って近づいてきて、いきなり私の肩に手を回してきたんです。さらに、飲んでいた缶チューハイを無理やり渡され、飲むようにと促されました。あまりの恐怖に、購入しようとしていた商品を棚に戻し、走ってその場を逃げ出しました」(Aさん)
コンビニや駅で肩に手を回す外国人観光客に戸惑う日本人女性のイメージ
電車内・駅構内での不快な経験:Bさんが語る無断撮影と不安
公共交通機関である電車内や駅構内でも、同様のナンパ行為が報告されている。都内の私立大学に通う20代女性のBさんは、電車内で声をかけられた際の衝撃を振り返る。
「電車で座って目を閉じていたところ、隣に座っていたと思われるアジア系の外国人男性に肩を叩かれ、『オハヨ』『アイシテル』と話しかけられました。そして、その外国人はいきなりスマホで私の顔を撮影し、『アリガト』と言い残して大きな荷物を持って電車を降りていきました。本当に気持ちが悪く、あの写真が何に使われるのかと考えると、不安で仕方がありません」
さらにBさんは駅での経験も語った。「駅のホームでは、スーツケースを引くアフリカ系の外国人が、すれ違いざまに口笛を吹きながら『英語話せる?』『どこいくの?』と英語で話しかけてきました。このような一方的なコミュニケーションは全く求めていません。特に露出度の高い服を着ていたわけではなく、ごく普通のTシャツにデニムといったカジュアルな服装でした」
夜の渋谷センター街を歩く訪日外国人観光客と日本人
これらの事例は、訪日外国人の増加がもたらす経済的恩恵の陰で、一部の日本人女性が不快な体験を強いられている現実を示している。文化や習慣の違いから生じる誤解もあるかもしれないが、相手の意図に反する一方的な接触や無断での撮影は、個人の安全やプライバシーを侵害する行為であり、社会全体で認識し、対処すべき問題である。インバウンド振興が進む中で、訪日観光客へのマナー啓発や、被害に遭った際の適切な対応策の確立が急務となっている。
参照元
- 日本政府観光局(JNTO)
- 財務省
- Yahoo!ニュース(マネーポストWEB)