国民投票法成立見送り 今国会、憲法審停滞のまま終局


 衆院憲法審査会は5日、今国会で最後となる定例日を迎えたが、与野党が折り合わず開催されなかった。これに伴い、改憲手続きを定める国民投票法改正案の成立は見送られることが事実上決まった。一方、参院憲法審では実質的な議論が一度も行われておらず、改憲議論は今国会でも停滞を続けた。

 与党は5日の衆院憲法審開催を求めていたが、立憲民主党など主要野党は、首相主催の「桜を見る会」をめぐる政府・与党の対応などを理由に拒否した。与党は「定例日以外でも審査会は開ける」として引き続き国民投票法改正案の採決を求める方針だが、安倍晋三政権下での改憲に慎重な野党が応じる可能性は低い。

 昨年6月の通常国会に提出され、4国会にわたって継続審議となってきた国民投票法改正案は今国会でも「たなざらし」となり、来年の通常国会に持ち越される。与党からは「いくら丁寧に協議を進めても野党は応じない。強行でも採決すべきだ」との声も漏れる。

 本丸の改憲議論も深まらなかった。衆院憲法審は2年にわたり議論が行われてこなかったが、今国会では3回の自由討議が開かれ、好転の兆しも見られた。ただ、議論の対象はいずれも与野党幹事による欧州視察に限定され、自民党幹部は「改憲の発議に向けた議論ではない」と突き放す。

 参院はさらに深刻だ。今国会で審査会を開催できたのは、10月4日に林芳正会長(自民党)を選任した3分間のみ。会期末の今月9日に審査会を開くことで与野党が合意しているが、国会閉会に伴う事務手続きを行うだけの方向だ。

 議論の停滞に対し、改憲に前向きな日本維新の会の馬場伸幸幹事長は4日の記者会見で「憲法審会長には手当も出ている。期待に応えて仕事してほしい」と苦言を呈した。



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