参院選中、Colabo仁藤夢乃氏らが被害届提出:参政党支持者による暴行か

参議院選挙が熱を帯びる中、女性支援を行う一般社団法人「Colabo」の代表理事である仁藤夢乃氏が、東京都文京区で参政党支持者による体当たりを受け、打撲などの怪我を負ったとして警察に被害届を提出した。この事実は、市民団体「のりこえねっと」が7月18日に都内で開催した記者会見で明らかになった。また、同団体によると、東京都練馬区でも別の一般女性が参政党支持者からバッグの肩ひもで首を締められたとして、同様に被害届を提出したという。

両名はいずれも、参政党から東京選挙区に出馬している「さや」氏の街頭演説中にプラカードを掲げ、抗議活動を行っていた。これらの被害届はすでに警察に受理されているとのことだ。

仁藤夢乃氏への暴行:詳細と被害状況

記者会見に出席した仁藤夢乃氏によると、事件は7月17日午後に発生した。文京区内で「さや」氏が演説を行っている際、仁藤氏が差別反対を訴えるプラカードを掲げて抗議活動をしていたところ、参政党の男性支持者に体当たりされ、転倒したという。

仁藤氏は会見で、「痛みのあまり動けませんでした。今も手足のしびれや痛みがあります」と述べ、病院で打撲など全治10日間の診断を受けたことを明かした。この件に関する被害届は本富士警察署に提出され、受理されている。

2025年7月18日、「のりこえねっと」が参院選中の暴力被害に関する記者会見を開き、代表の辛淑玉氏(左)らが状況を説明する様子。2025年7月18日、「のりこえねっと」が参院選中の暴力被害に関する記者会見を開き、代表の辛淑玉氏(左)らが状況を説明する様子。

一般女性が受けた暴行と選挙妨害の解釈

会見に同席した神原元弁護士は、もう一件の被害について詳細を語った。7月13日夕方、練馬駅前で「さや」氏が演説中、遠くの歩道橋からプラカードを掲げていた一般女性に対し、参政党支持者の男性4人が取り囲んで身体に触れるなどし、歩道橋の手すりから引き剥がしたという。その際、男性の一人が女性のバッグの肩ひもを強く引っ張り、首が絞まる状態になったと説明した。現場の状況を撮影したとされる映像がSNSに投稿されており、一歩間違えれば生命の危険もあったと指摘されている。

公職選挙法では選挙活動の妨害が禁じられているが、神原弁護士は「例えば拡声器などを使って演説の聴取や継続を困難にさせることは選挙妨害にあたりますが、この女性の場合は遠くでプラカードを掲げていただけなので、選挙妨害にはあたりません」と述べ、被害女性の行為が選挙妨害にはあたらないとの見解を示した。

被害に遭った女性からは、次のようなコメントが寄せられた。
「無言でプラカードを持っていただけで恫喝され、体を触られ、こづき回され首を絞められました。相手を人間と思っていないから、できるのだと思います。自分は日本人だから日本人ファーストがいいと賛同している人も、小さなきっかけで切り捨てられると気づいてほしいです。警察と司法には法にのっとり、正しい判断をしていただきたいです。」

参政党からの呼びかけと背景

これらの事態に対し、参政党代表の神谷宗幣氏は7月7日、自身のX(旧ツイッター)アカウントを通じて支持者に対し、以下のような呼びかけを行っていた。
「街頭演説に記者のフリをしてやってきて、しつこく同じ質問をして、私が怒る映像を撮ろうとする者が何人もいます。また、街頭演説を妨害し、怒った支援者の映像を撮り、参政党は危険な集団だと見せようとしています。こうしたことはネットでも行われますから、皆さん挑発にのらないようにしてください。向こうも必死です」

まとめ

今回の参院選中に発生した一連の暴行事件は、政治活動における表現の自由と安全性の両面から深刻な問題を提起している。Colabo代表理事の仁藤夢乃氏と一一般女性が、街頭での抗議活動中に参政党支持者から受けた暴力行為に対し被害届を提出したことは、選挙運動におけるトラブルが単なる口論に留まらず、身体的な危害に及ぶ可能性があることを示している。神原弁護士の見解が示すように、正当な抗議活動が「選挙妨害」と混同され、暴力の口実となることは許されない。政治的意見の相違がある中においても、暴力に訴えることなく、言論の範囲内で対話を進めることの重要性が改めて問われている。警察と司法には、これらの事件に対し公正かつ迅速な判断が求められる。

参考文献

  • 弁護士ドットコムニュース編集部