高市早苗氏が新総理に就任。今後、さまざまな政策の実行を図っていく。その際に重要なのが、霞が関との関係性である。新内閣が官僚に丸めこまれず、上手く使いこなすことが出来るかどうかは、少数与党だけになおさら、政権の浮沈に関わる重大事項となる。高市新総理が過去の大臣就任時、官僚に対して時に厳しい態度で臨んでいたことは、知る人ぞ知る話。高市氏は第二次安倍政権下で総務大臣を3年余り務め、歴代最長の在任期間を記録したが、この間、官僚たちと緊張関係になることもあったという。
その一例が、2019年年末に発覚した日本郵政への「情報漏洩」問題。この年、かんぽ生命の不正販売問題が発覚。これを受けて総務省が検討していた行政処分の案を、あろうことか事務方トップの鈴木茂樹事務次官が、処分対象である日本郵政の鈴木康雄上級副社長に漏洩したのである。高市大臣は鈴木次官に停職3か月の懲戒処分を命じ、次官は辞表を提出。大臣室での会話が相手方に漏れたという、前代未聞の事態であった。
当時、「週刊新潮」ではこの件を取材。総務省関係者に高市氏の省内での評判などについて聞いている。以下、それを再録し、真面目一徹で知られる新総理の官僚との向き合い方について探ってみよう。
(「週刊新潮」2020年1月2・9日号記事の再録です。文中の役職等は当時のものです)
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事態が明るみに出たのは、(2019年)12月20日のことである。日本郵政の鈴木康雄上級副社長に対し、総務省の鈴木茂樹事務次官が行政処分に関する情報を漏洩したと高市氏が発表した。次官は停職3カ月の処分を受け同日付で辞職。発端は大臣室の会話が相手に筒抜けになっていると疑問に感じたことだという。
政治部デスクの解説。
「杉田和博官房副長官も“停職3カ月は相当きつい処分。辞職しろってことだから”とオフで話していました。大臣が内部監察を命じたのが3日前。鈴木副社長は元総務次官で、菅官房長官とも近い。高市さんから見ると郵政は菅さんの牙城で、人事に触れないジレンマを抱えていました。だから、ここぞとばかりに自分の力を誇示して見せたのです」
もっとも、これまでの高市氏の仕事ぶりを見ても、不祥事の類にはキツイ言葉を投げかけるのが常だ。例えば、NHKが進める放送とネットの常時同時配信について、「具体的な取り組みが十分に示されていない」と物言いをつけているし、郵便局で相次いだ職員による切手の横領についても、社長の謝罪を求めている。